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一人の少年の目を通して映し出される、複雑に捻じ曲がった人間模様を描いた回想録。 ゆえに、物語の中心に位置しながらも、少年の語り口はどこまでも淡々としている。 軽井沢という清廉なイメージのある舞台背景と、そこで繰り広げられる醜悪かつ猥雑な 人間関係との対比が上手く描かれている良作である。 物語の主題である、人間が意識する心の“悪”とはなんであるのかを常に意識しながら 読むとおもしろい。 少々淡々としすぎたきらいがあったため星3つにしたが、全体としてスマートに纏まって いる点は良かったと思う。
間違いなく自分が今まで出会った小説の中で一番良い作品です。 軽井沢の別荘という閉じられた世界の中で長年起こってきた、人の欲望や憎しみ、嫉妬が入り混じった、救いのないドロドロした話が描かれています。が、この小説にはそのドロドロした汚い感じがかき消されるような、美しさがあります。それは、夏の朝深い霧につつまれる静かな軽井沢の、広い庭をもった別荘という環境の中で起こることからであり、また自分がこの作品に惹かれる理由でもある「姉」の存在によるものだと思います。ぜひ読んでみてください。
いやあ、これはすごくおもしろかった。 宮本輝には珍しく上下巻ではなく、1冊の長編なんだけど、 これで十二分に適度な長さできちんと物語が完結している。 あれもこれもとテーマをつぎこまず、1つの話で完結している。 だから読みやすいし、入っていきやすいし、本に食い入れられる。 軽井沢という舞台設定もいいし、別荘番と主との入り組んだ人間関係と、 それの慣れのはてを追って行く話は実におもしろい。 主人公である少年からみる大人社会と異性との触れあいも、実によく描かれていた。
没頭して読んでしまう本です。 引き込まれて引き込まれて誘い込まれるようにして読んでしまいました。 人間の醜さ、穢れ、恐怖を一同にかいして淡々と語り口調で語りも 魅力があって何度でも手に取りたくなります。 あなたも心の地下室を開けてみませんか
夏になると、また読みたくなって毎年繰り返し読みます。本を開くと、頭の中に軽井沢の涼しい空気が充満するかんじで、大好きな一冊です。謎は全部解明されずに残る部分がありますが、それもまたこの作品の魅力のうちにはいっています。