同時代人の証言
筆者は後年、全八巻の『昭和史』を「戦争で死んだ人への鎮魂を込めた自分史」だとのべています。次第にやりたい仕事がやれるようになったころ、取り組んだ作品です。ご自身にとっても思い入れのある作品のひとつであると同時に、筆者の画業を語るうえでもたいへん重要な作品となっています。本シリーズは「昭和」という時代を、大正11年生まれの筆者じしんの成長とともに、マンガで振り返っています。したがって昭和史だけではなく、作者の自伝として読むことができます(自伝コミックの『マンガ水木しげる自叙伝 ボクの一生はゲゲゲの楽園だ』は本書を底本にしています)。
昭和史としては史実に忠実ですが、太平洋戦争に多くのページを割いていることなど、事件・出来事の取捨選択には、作者の好みが反映されていて、この点が本書の特徴といえます。
本巻『コミック昭和史(1) 関東大震災-満州事変』では、作者の子ども時代の様子をうかがうことができます。意外だったのは、作者が絵も描くが、運動神経に優れ、学校ではケンカばかりしていたと描かれていることです。なお『昭和史』の進行役にはねずみ男が登場します。本巻では悪魔くんが登場しているページがありますので、それを探しながら読むのも楽しいのではないでしょうか。