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一人になりたいときに手に取りたくなる本というのがあって、森茉莉のエッセイもそのひとつ。 ただの少女趣味やナルシズムにおぼれない、スケールの大きさと上質のユーモア、男性的ともいえるような鋭い感性、森茉莉の中にはあきらかに父親、鴎外から受け継がれた暖かなものが息づいているからだろう。 小説よりも、むしろエッセイのほうにその感性の鋭さは輝いていて、それは誰にも真似の出来ない、飛び切り贅沢な森茉莉の世界なのである。
世の表面にふわふわと浮いて暮らしている著者の不思議な生活。「フツウの生活」をやり棄てて、ただ自分の好きなものだけを目で追う暮らし。縦横無尽に見えながら、その行動範囲は存外狭い。脳漿の中のバーチャルな世界で暮らしている。ぞろぞろと連なる文章は、とりとめもない雑談のような話の飛び具合。寂しさを紛らすうちに習慣になった独り言のようで哀しい。著者は1987年6月6日、自室で心不全のために孤独死、2日後に家政婦に発見された。
ぞろぞろと連なる文章は、とりとめもない雑談のような話の飛び具合。
寂しさを紛らすうちに習慣になった独り言のようで哀しい。著者は1987年6月6日、自室で心不全のために孤独死、2日後に家政婦に発見された。
だれもがお会いしてみたいと思うのではないでしょうか。森茉莉という人物に。森鴎外の娘として、おフランス暮らしで、培われた独特の感受性。表現力。言葉の選択眼。リズムの心地良さ。我が道を行く、ということはまさにこういうことなり。改行が少ないので読みづらいという方もいますが、それを乗り越えてマリアリズムに乗っかってしまえば、非常におもしろおかしく読める本だと思います。
改行が少ないので読みづらいという方もいますが、
それを乗り越えてマリアリズムに乗っかってしまえば、非常におもしろおかしく読める本だと思います。