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流星ワゴン

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流星ワゴンの解説

   主人公の永田一雄の前に、1台のワゴン車が止まったことからこの物語は始まる。ワゴン車には橋本義明・健太親子が乗っており、彼らはなぜか永田の抱えている問題をよく知っていた。

   永田の家庭は崩壊寸前。妻の美代子はテレクラで男と不倫を重ね、息子の広樹は中学受験に失敗し家庭内暴力をふるう。永田自身も会社からリストラされ、小遣いほしさに、ガンで余命いくばくもない父親を訪ねていくようになっていた。「死にたい」と漠然と考えていたとき、永田は橋本親子に出会ったのだ。橋本は彼に、自分たちは死者だと告げると、「たいせつな場所」へ連れて行くといった。そして、まるでタイムマシーンのように、永田を過去へといざなう。

   小説の設定は、冒頭から荒唐無稽である。幽霊がクルマを運転し、主人公たちと会話する。ワゴン車は過去と現在とを自由に往来できるし、死に際の父親が主人公と同年齢で登場し、ともに行動したりするのだ。

   過去にさかのぼるたびに、永田は美代子や広樹がつまづいてしまったきっかけを知ることになる。何とかしなければと思いながらも、2人にうまく救いの手を差し伸べられない永田。小説の非現実的な設定と比べて、永田と家族のすれ違いと衝突の様子は、いたくシビアで生々しい。

   永田は時空を越えて、苦しみながらも毅然と家族の問題解決に体当たりしていく。その結果はけっきょくのところ、家族が置かれた状況のささいな改善にとどまるだけでしかない。それでも死にたがっていた男は、その現実をしっかりと認識し生きていこうとする。「僕たちはここから始めるしかない」という言葉を胸に刻んで。(文月 達)

流星ワゴンの商品レビュー

5.0 もし自分が過去に戻れるなら
一度過ぎ去った過去は取り戻せない、そのもどかしさを分かりつつも、必死になって自分の過去を変えようとする男の姿が印象的だった。誰もが自分の過去を振り返りたくなるときもあるけれど、そこには知りたくない真実が潜んでいて、その真実とどう向き合っていくのか、先の展開が楽しみな作品だった。もし自分が過去に戻れるなら…と考えてみるとおもしろいかな。
4.0 後悔しない生き方
初めて重松さんの作品を読ませてもらいました。
誰でも日々の暮らしの中で、流されてしまっているコトってあると思います。
でもそれを変えることができずズルズルと深みにハマって行ってしまう。
人生はやり直すことは出来ないけれど、気づいた時にはその時点から納得のいく日々になるよう、前向きに努力しなければいけないと言うことを胸に刻みました。
人生良いことばかりのはずも無いけれど、悪いことばかりでもないわけですから。
3.0 優しい本
ストレス社会に、今を生きて行かねばならない人間の
脆さとたくましさ、家族の愛と温もりを描くストーリー。
主人公を通して、優しく心の裡に響く。


大きなストレスを抱え苦悩する男性に、
ひょんな事から過去をやり直すチャンスがめぐって来る。
人間誰しも持つ弱さであるが、辛さに耐えかねた彼の現実逃避である。
過去をもう一度くりかえすことで、
客観的に見、考え少しづつ何かに気づいて行く主人公。
なぜ、こうなったのか。
誰がこのようにしたのか。
そして親の強い愛と弱い心を理解し、大人になって行く。

彼が抱えた大きなストレスや苦悩は、ごく普通に生活する自分や家族と重なり、
痛みは共感できるものである。
「あの時に戻ってもう一度やり直したい」
と誰もが一度は思うこと。
主人公を通して慰められることもあるだろう。

ただ、妻の美代子の思いや心の裡が描かれてなく、
彼女の言動は納得できなかった。
彼女の心を深く掘り下げてあれば、より共感できるものになったと思う。
これも自分だけが辛いと感じ、
妻の内面さえ慮れない傲慢な主人公の視点なのだろうか?

さらに、橋本親子が「親子歴1年」で、実の親子ではないという設定に疑問を持った。
そこに深い絆は生まれるだろうか?
この2点が今ひとつ現実味がなく説得力の弱いものになっていると感じた。


心が萎れそうな時に、この本を読むことをお勧めします。

5.0 過去
暴力をふるう息子、テレクラで浮気を重ねる妻、自分自身は会社からはリストラ寸前。
家庭は崩壊しつつあった。
「死んでもいいか」そう思った所に1台のワゴンがやってきた。
もう死んでしまったという同じ年の父親とその子供と過去へと向かう。
見たくない妻の浮気現場や気がつくことのできなかった息子のS.O.S.を親子と共に対面していく。
しかしもう過去は変えられない。いちからやりなおしはできない。
やりなおせるのはここ、27歳リストラ寸前の自分と浮気の妻、暴力ひきこもり息子がいる現在からなのだ。

ストーリーは非現実的なのに、芯となるものは生々しいくらいリアルで苦しくなる程です。
決して手を加えることができないもの「過去」。
ここに出てくる過去は美しいとか輝かしいという類のものではありません。
できることなら封印してしまいたい、蓋をしたい、目を伏せてしまいたい過去です。
自分たち自身が「過去」になってしまった親子と「過去」を経て、これからを変えられるかもしれない主人公。2つの過去と現在、そして未来のストーリー。
4.0 ファンタジーなのにリアルに心に響く物語
私は女だし父はピンピンしているけど
なぜかすごく共感できて
じんと心に沈み込む物語だった。

ファンタジーだ。だけどリアルだった。

過去を振り返ってもどんなに後悔しても変えることはできないし、
現在もまたしかりだけど、
主人公・永田一雄のように「流星ワゴン」を降りた読み手自身が
一番心の変化を感じるのではないだろうか。
ベタだけど、もっと今を大切に生きること、
もっと家族や周りのことに目を向けることが
大事だということに気付くのではないだろうか。

★ひとつ欠けたのは、一雄の妻の行動は理解できなかったから。
彼女のような行動にでてしまう、そういう病気の人もいるんだろうか。
そのあたりが男性が書いた小説っぽいよな、なんてちょっと気持ちが
しらけてしまうところだったのだ。

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