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ブラフマンの埋葬

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ブラフマンの埋葬の商品レビュー

4.0 結晶
なんて圧倒的な孤独なのだろう。

作品の随所から感じる切なさ、哀しさ。頁を進めると共に深まっていく「僕」のブラフマンへの依存。そしてタイトル。

ブラフマンは木の虚が好きだった。覗きこんだその中で何を見たのだろう。

ラストシーンで、「僕」の中には小さな孤独の決勝の様な物ができたように思います。秋の乾いた空気に濃密な悲哀が包み込まれているのに、それでも穏やかさが存在しているのは人間が思い出に縋る生き物だから?


なんて、自分勝手に感傷に浸りすぎでしょうか。でも小説を読む者はそれを勝手に解釈することが許されていますよね。
4.0 ブラフマンとのやさしく、穏やかな、せつない日々。
別荘管理人の主人公が、ある日行き倒れの動物を拾って「ブラフマン」と名づけ一緒に暮らし始める。主人公とブラフマンのやさしく、穏やかな日々と悲しい別れが小川洋子の静かな文章で美しく描かれている。実は最後まで「ブラフマン」が何の動物なのかは明かされない。読者は文章から想像するだけなのだ。ラグビーボール大で茶色の毛が全身にはえている。肉球があって、水かきがある。犬か?と思ったけど「しっぽが胴の1.5倍」で違うなと思う。誰かが「かわうそ」と書いていたけど、ブラフマンは主人公の部屋で暮らのだ。かわうそって水の中にいなくていいんだっけ??でもブラフマンは泳ぐのが大好き。なんだか小さいアポロ(家のワンコです)みたいだ。イタチとかそういうものかも。まあ、いろいろ予想しながら読むのも楽しい。ブラフマンは本当にかわいくて読んでいるといとおしくなる。そして題名でわかってしまう別れに向かって物語りが進んでいくのが悲しい。いろんな人の感想を読むと何しろ小川洋子は「博士の愛した数式」が、評価が高く「ブラフマン」はイマイチらしい。「博士」を読んでいないのでなんともいえないが、犬好き猫好きの人は結構これもキュンとくる。前の「偶然の祝福」にも犬が出てきたが、彼女の動物の表現はとてもリアルだ。鳴き声や泳ぎ方、表情の描き方に愛を感じる。犬を飼っているのかもしれない。

5.0 宝石のような一冊
どのページを開いても、描写が素晴らしく美しい!
小川洋子独特の透明感があり、キラキラと光る郊外の風景が鮮やかに広がります。
謎の小動物ブラフマンのしぐさ、表情が細かくイキイキと描写されています。
主人公の純粋な愛おしい気持ちが感じられて、深く心に染みます。

同時に、そこかしこに死の香りが漂います。
しかしそれは忌み嫌うべき死ではなく、気が付けば隣にあるような、静かな死です。
そこが、ただのメルヘンでなく、この作品が文学作品に仕上がってる所以だと思います。
ブラフマンの死も、静かに淡々と描かれています。
(しかし、なぜこんなに悲しいのでしょうか。悲しいとは一言も書かれてないのに。)

ゆっくりと少しづつ味わって楽しむデザートのように、じっくりと読める作品です。
古本屋に売る事無くずっと手元に置いて何度も読み返したい一冊です。
4.0 さわやかな、そして苦い夏の思い出
ブラフマンとは最初犬だと思って読み進みました。すると水かきがついているという表現があり、「犬に水かきはあったけ?」と思います。さらにやたらと長い尻尾があることがわかります。この時点で私はもしかしてリスかもしれない、と思います。半ばまでくると、誰もこの動物の種類について言及しないことがわかり、「なんだ意図的に隠しているのか、最後には明かされるのだろうか」とそれが楽しみになりますが、結局は最後まで明かされずじまい。森の動物で人懐こく毛がふさふさしていて水泳が得意な動物、、うーむ、あまりいなさそうなので、架空の動物なのかもしれません。舞台もオリーブ畑がひろがっており、古代墓場が近くにあり、不思議な埋葬の習慣があり、これって日本じゃないなーとだんだん思うようになります。

主人公の青年は、雑貨屋の娘に恋心を抱いていますが、彼女はいまどきの割と自分勝手な娘として描かれてます。青年と彫刻家が自制心のある俗っぽくない人間であるのに対し、この彼女とレース編作家は「いる、いるこういう人」といったある意味人間らしい性格で主人公らと対照的です。結局彼女と一緒にいたいがために注意散漫になり、ブラフマンが死にいたってしまうのですが、(主人公にとって)かわいいブラフマンが自分をおいかけて足元にとびだしてきたというシーンは、私にもなついていた手乗りインコがそのようにして死んでしまった経験があるので、それを思い出して心が痛みました。

架空の場所の架空の動物、登場人物にも名前はないし、森・泉・草原が背景となった乾いた明るい情景の中、淡々と物語は進んでゆきます。夏の苦い思い出としてページをめくり終わる感じです。
3.0 affection and fraternity
親子間に感じる本能的愛情というのが、主人公である「創作者の家」の管理人とブラフマンの間の関係なのだと思う。
ある日傷ついて迷い込んできた奇妙な森の生き物を主人公は保護し、ブラフマンという名を与え、それこそ親が子供を愛するように慈しむ。
彼の(決して聞き分けのいい子とはいえない)ブラフマンへの愛情はまさに無償の愛である。
この小説で何より素晴らしいのはブラフマンの感情表現の素晴らしさである。この世に存在しないだろう架空の動物の姿形、そして表情の変化それぞれが詳細に浮かび上がってくるような優れた表現力には脱帽した。
とにかくこの二人の暖かい関係、ブラフマンの悪戯に怒りを感じない主人公の寛容さ、に学ぶ点が多いと感じた小説であった。

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