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6ステイン

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6ステインの商品レビュー

5.0 想像以上の面白さ!
ローレライを途中で挫折して以来、久々に福井作品を読んだのだが、あまりの面白さに徹夜してしまった。
防衛庁情報局(途中までは実在の組織だと思い込んでた)の下部に位置する人たちを主人公にした6つの短編集。
「いまできる最善のこと」「畳算」「媽媽」の3編は、主人公が不実な生き方から脱却するために命を顧みない、とんでもない選択をし、読んでる者をハラハラさせる展開になる。特に「畳算」に登場するスーツケースの話は、リアリティがあって、本当に冷戦時代にそういうことがあったかも、と思わせられた。
「媽媽」の続編になる「断ち切る」は、カバンの底を剃刀で切って、中身を抜き取るスリが主人公だが、この断ち切りの話が面白い。また、二転三転するストーリーも最後まで読ませる。
「サクラ」は、ヒロイン・サクラの仕事の時の顔を、素顔とのギャップが出色。
最後の「920を待ちながら」は「亡国のイージス」のサイドストーリー的な話になっている。これも最後の方で衝撃の事実が明かされる展開。

5.0 不実に生きるか、誠実に死ぬか?
国益、治安維持という名目で、人殺し等の汚れ仕事を淡々と遂行する防衛庁情報局の工作員達。
上からの命令には疑問をはさまず、感情を捨て、ロボットのように任務をこなす事が美徳とされる職種。
そんな彼等が「人間としての情」によって、感情を揺さぶられる物語が6編。
「プロとしての任務」と「人間としての情」の相克する感情が、痛いほど伝わってくる。

私は特に「畳算」がよかった。
主人公の「プロとしての冷酷な判断」と「老婆に対する親愛の情」との葛藤がヒシヒシと伝わってきた。
国際情勢と権力争いの掛け算の結果でしかない「国益」のために、命も尊厳も売買の対象にされる不実な世界に妥協して生きるか?
人間として誠実に死ぬか?
主人公は、極限下での生き方を問われる。
読後、私は自分自身の生き方が問われているような気がした。

福井作品は、派手な戦闘シーンやスパイ戦ばかりに目がいくが、どの作品にも根底にあるテーマは「不実に生きるか、誠実に死ぬか?」という生き様の選択。
この骨太なテーマがあるからこそ、単なるアクション小説に成り下がらず、重厚感があり、魂に響く作品に仕上がっている。
戦争やテロといった極限下のシチュエーションは、このテーマをわかりやすく読者に伝えるための手段に過ぎない。

福井作品は、結局のところ、人間を描くという文学の本道をいっている事を忘れてはならない。
福井作品を酷評する人は、その事が読み取れていない。
5.0 心地よい寂寥感と読後感
 普段はどこにでもいる主婦だったり全然別の仕事をしていたりする彼らが、一度国を揺るがす一大事が起こると、生きるか死ぬかのやり取りをする戦場に飛び込んでいく。それなのに、報酬はすずめの涙ほどしかない。そんな彼らを人は『ダイス』と呼んだ……。
 決して報われる事のない任務を、そうと分かっていながら敢えて全うする男女達。福井晴敏には珍しい短編集です。日本に生まれた事・住んでいる事に感謝する作品です
4.0 「日常」から急転直下、一気に「非日常」に!
今年(’05年)は福井晴敏の当たり年で、『終戦のローレライ』、『戦国自衛隊1549』、『亡国のイージス』と彼の原作・原案の作品が3つも映画化された。

本書は、重厚長大な大作(長〜い作品)を書くというイメージの強い著者の初めての短編集である。直木賞の候補にもなった本書だが、6編のうち5編は’98年から’00年に月刊小説誌に初出された比較的前の作品だ。

いずれも存在を秘匿された組織、通称“市ケ谷”と呼ばれる防衛庁情報局の正局員や非常勤の警補官(AP)、つまり秘密工作員たちの活動を描いている。

ふだんは別の仕事を持っていたり、普通の主婦だったりする男たち、女たちがひとたび本部からの「指令」があれば、一転、命のやり取りすら当たり前の過酷な「任務」に身を投じる。彼ら、彼女らがそんな「仕事」をしているとは世間ではまったく知られない。しかも思いのほか報酬は少ない。

なんでもない日常を描くような書き出しから、急にハードボイルドで非日常的なまったく別の世界が展開する。最初の1,2編は違和感すら感じたが、読み進んでいって、特におしまいの2編、「断ち切る」と「920を待ちながら」は短編というより中編位の長さの佳作で、福井節といってもいい独特の言い回しの文章はそれ自体、重々しく存在感があり、次第に物語に引き込まれていった。

4.0 空の青さが目にしみます…なんでだろ
なんでもない日常を描くような書き出しから、ぐいっと別の世界に引き込まれる。
そして読み終わった瞬間顔を上げて、あ、空が青い、道行く車の音も普通に聞こえてくる、とほっとする。

福井作品は「Twelve Y. O.」と「イージス」を読み、「ローレライ」「戦国自衛隊1549」を映画で観たくらいの新参者ですが、そんな私には「いまできる最善のこと」がいちばん魅力的で臨場感がありました。「媽媽」のラストには、ひとりの30代の女として泣けてしまったけれど。人それぞれにさまざまな楽しみ方ができるのが、短編小説集の素敵なところですよね。

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