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外交敗北――日朝首脳会談の真実

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外交敗北――日朝首脳会談の真実の商品レビュー

3.0 歴史の側面を垣間見ることが出来ます
北朝鮮に対する日本政府の失策が綴られている。
分析を元に詳細を描き熱のこもった文章が続く。

ただし、これはあくまで側面の一つであり、
全面的に信用してよいのだろうか、との警戒心も残る。
それは、全てが事後検証であり、未来の予測ではないから。

この手の本を読むと、いつも反対側に
位置するかたの本を読みたくなってしまうのは性なのでしょうか。
5.0 拉致事件は何故解決できないか?!
「ワイドショウ政治」と揶揄された小泉政治の白眉が、日朝首脳会談だった。この本を読むと、TVの画面からは伝わらなかった、この会談の内幕がよく分かる。北朝鮮に利権を求める「政治屋」と国民の利益は二の次とみなす外務官僚が、拉致事件の解決を困難にしている事情もよく理解できる。

朝鮮問題の評論家について著者は、「その場限りのいいかげんな解説や発言」をする人物としてA教授を挙げている。
「(著者は)A教授がソウルの民間研究所に籍を置きながら、語学学校に通っていたことを知っている。ソウル特派員時代に、お世話をしたこともあった。残念ながら、延世大学の大学院には籍を置けなかった。延世大学の教授達によると、博士課程に在籍することもかなわなかったという。」(140ページ)

これは、おそらく伊豆見元・静岡県立大学教授を指すのだろう。「朝鮮問題の権威」を自認する伊豆見センセイにもこういう弱みがあったのだ。あの傲岸不遜は、弱みの裏返しだったのか。思いがけない内幕を知ることができた。
5.0 危なかった日朝首脳外交の課題を知らしめた良書

重村さんは恐らく日本で一番高名な北朝鮮専門家だろう。氏の特徴は、北の内部事情について深い所から精度の高い情報も時折入る様子である事、北朝鮮経済動向も視野にいれ分析出来る事だろう。

本書のタイトルは「外交敗北」だが、重村さんは日朝首脳会議が失敗だったとはしていない。ただ危なかったとしている。これは、日本が拉致事件を解決し北朝鮮との正常化を進めていた矢先、アメリカでは北朝鮮の核廃棄の動きが出始め、これが真っ向から対立して、日米同盟を損なっていた危険があったが、逆に拉致に関して北朝鮮の対応が釈然とせず、結局日本の国民感情が悪化して、日米間の立場の違いが発生せずに済んだからだ。

結果オーライではあったが、日本側外交の多くの課題が可視化し「外交敗北」だとしているのだ。具体的には、(一)日米同盟への影響の吟味(核問題の重要性評価)が甘かった、(二)正常化が必要だったのは北朝鮮の方であり、日本に慌てる必要はなかったとの正しい情勢判断があったか、(三)北朝鮮側交渉相手の選定(個人技・個人的関係に依存する事となる北工作機関ではなく、本家本丸北朝鮮外務省とすべき)。これらの課題は日本の北朝鮮外交にとって今後も重要と思われる。ここに本書の価値がある。

最近、北朝鮮の核は廃棄に向け「初期段階の処置」の合意が6カ国協議でなされた。今後合意が実行されるかが課題だが、一歩踏み出した事実は大変重要と思う。その中で日本政府は、拉致事件は未解決である以上、北朝鮮に対する重油提供などには参加しないことを決めた。これは一貫性があり子気味の良い外交だと思う。このように北朝鮮の核廃棄と日本人拉致はリンクしている。この意味でも本書は有益な一冊だろう。
5.0 「外交」の本質
 もともと新聞記者であった筆者のため、初めから最後まで文章構成、内容、読みやすさは抜群です。「外交」について、初めてその本質が理解できたように思います。そして、筆者の主観を述べるのではなく、取材に基づいた事実を書くということがどういうことなのか理解できたような気がします。
 私は、末端の同業者ですが、国を動かす、国のために仕事をする、そんな仕事にも携わってみたいと思うようになりました。
5.0 日朝共同宣言は、第二の日ソ中立条約である。
 古典文学と医学書以外で、2006年に私が読んだ最良の本は、この本かも知れない。本書は、北朝鮮についての厳しい分析で定評の有る重村智計早稲田大学教授が、平成14年(2002年)の小泉訪朝の内幕と、その陰で進行して居た日米関係の危機を語った、驚愕の一書である。その内容を要約すれば、小泉訪朝(2002年)とは、詰まる処、北朝鮮の工作機関によって篭絡された日本の外交官と政治家達が、自らの利権の為に、拉致被害者を見棄てて、北朝鮮を救済しようとした、祖国への裏切り行為だったと言ふ事である。そして、その陰で、既に1989年の冷戦終了時から崩壊の危機に瀕して居た日米同盟が、最悪の状態に陥って居た事を指摘した本書の内容は、余りにも衝撃的な物である。以下の記述を読んで欲しい。(以下引用)−−日米同盟は、一九八九年の冷戦終了後ずっと、崩壊の危機に直面してきた。日本の政治家や識者が、この「危機」にどれほど気ずいていたかはわからない。日本では、あまり議論されなかった。また、それが表面化しなかったのも事実である。(本書217ページより)−−
 全国民必読の本である。日本の外交は、外交官が宣戦布告の文書を届け遅れて「騙し打ち」の汚名を与えられた真珠湾攻撃の時から、或いは、戦争末期に、和平をソ連の仲介に期待して、奈落の底に落とされた時から、全く進歩して居ないのである。

(西岡昌紀・内科医/真珠湾攻撃から65年目の日に)

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