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下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち

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下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たちの商品レビュー

2.0 だからどうするんだ!
内田氏は衝撃の事実を世に示してくれた。この功績は大きい。しかし、同氏ほどの人が、「だからこうして下流志向に歯止めをかけよう」という提言をまったく書いていないのはどうしたことか?逆にいえば、これほどの一大事を発見したなら、大変な焦燥感を抱き、解決方法を模索して当然ではないのか?大事なところの抜けた本ははなはだ無責任な印象が否めない。
2.0 著者は何が言いたいのか
 本書の内容は全体的に訳がわからない。ある章では若者自身への批判に振れたかと思うと、別の章で社会環境への批判に振れたりと、総合的な要点が見えてこない。
 まるで「問題の原因を自己責任にばかり求められない」と本音では判っていながら「本来責任を負うべき者を大々的に非難できない」という建前との間を彷徨っているような印象を受ける。
 しかし「教育を受ける」ということが実質、学童生徒が負う一方的な義務となっていることは、事実である。その原因も、子どもからの「等価交換」の要求などではなく、日教組・文部官僚双方の権力志向によるものである。
 また労働面においても、今の時代「等価交換」を相手に求めているのは、むしろ雇い主、企業経営者のほうだ。その企業経営者に対する批判が全くないことからも、本書は公正さを欠いているといえる。
 また「等価交換」を求める精神の原因とされる「消費主体」化にしても、それは「『一人勝ち』の経済学」への拙稿でも指摘した「意図的にブームを仕掛けるせこい商売」に金づるとして取り込まれ、踊らされた結果にすぎない。踊らされず抵抗した場合でも、オタク呼ばわりなどで肩身の狭い思いをさせられるとあっては、どうしろというのか。
 ともあれ、ニートその他の問題で若者の側が誹りを受ける筋合いはない。その誹りはちょうど、童話「ピノキオ」に出てくる「馬鹿者おとしの町」と同じ図式である。
1.0 王様は裸だ!
 今さらながらの感想なんですが、ちょっと私が疑問に思う点が先行レビューでは指摘されていない様子なので、一言。
 本書のキーワードの1つに「等価交換」がありますが、これは諏訪哲二『オレ様化する子どもたち』から引っ張り出したものです。で、諏訪著ではどのように使われているかというと……最近の高校生は、悪さをしている現場を押さえられても、事実そのものを否認するようになった。これは彼らが「自分の行為の、自分が認定しているマイナス性と、教師側が下すことになっている処分とをまっとうな『等価交換』にしたいと『思っている』。(…)そこで自己の考える公正さを確保するために、事実そのものを『なくす』か、できるだけ『小さくする』道を選んだ」(p31)、と解釈するワケです。これは一応分かる話です。
 ところが著者は、「消費主体」化した子どもたちがさまざまな場面で「等価交換」を要求するという諏訪の仮説を、「五十分間の授業を黙って耐えて聴くという作業は子どもたちにとっては『苦役』です。彼らはその苦役がもたらす『不快』を『貨幣』に読み換えて、教師が提供する教育サービスと等価交換しようとする」(p48)という風に拡張します。皆さん、これ本当に納得しておられるんでしょうか?
 教育サービスと等価交換されるべきは授業料その他の金銭的支払いです。ところがその支払いに見合うほど授業が面白くない。あるいは授業そのものには興味がないけれど、卒業資格が欲しいから仕方なく金を払って学校に在籍しているという場合もある。その場合には授業は「苦役」となり、私たちは授業への「無関心」や「拒否」という形で自分の「不快」を表明する。これが自然な考え方じゃないでしょうか?
 ただ、この自然な考え方は、当り前すぎてちっとも面白くない。これじゃ読者を引っ張れない。だから著者は、教育サービスと不快との等価交換なんていう、ありもしない等式をブチ上げるワケです。気の弱い人は、これが分からないと言ったら馬鹿にされるんじゃないかと恐れて、「王様は裸だ!」が言えないんでしょうね。
4.0 教育の商品化が学ばない子供たちを作る
学力低下やニートの発生については、親や教師の責任(甘やかしすぎ)、教育行政の政策誤り(ゆとり教育の弊害)、不況などの社会情勢などが問題とされることが多いが本書は異なる視点を投げかけている。

「教育サービスの買い手」としての子供たちが、自分にその価値が理解できない教育を「苦痛」と引き換えに買おうとしなくなった。労働に対する報酬が、自分の苦痛に見合わないため、働くなくなった。これは、「消費主体」として合理的な行動の結果であり、単なる怠けなど、やる気の問題ではなく、むしろ必然的な選択の結果として教育や労働を拒否しているのだという。

価値のわからないものに多大なる投資(苦痛を含め)を行うことは、確かに消費者としては「合理的」な行動ではない。そのため、「なぜ勉強しなければいけないのか」「なぜ働かなければいけないのか」という問いに対しては、「やってみればそのうち分かる」という、現在すぐに得られるものではない時間軸を意識した答えが必要となるという。
これで子供たちが勉強するようになるかどうか、については周りの大人たちが「目に見えないものをいかに確信させられるか」という影響力の問題となろう。

社会構造的な階層化のアプローチとは違う新たな視点から、教育問題、労働問題に迫る本。理論的なバックボーンは明確ではないが、「ハッ」とさせるような議論が展開され、刺激的です。
2.0 勉強する理由を説明するのも大人の義務では?
勉強しても何の役に立つかわからないから面倒くさがって勉強しない。
それは今の時代に限った話ではないのではないでしょうか?
ドラマ「おしん」の時代でも、学校に通いたい主人公に対し、いかだ職人が「いかだ組むのに文字なんか読めなくても困らないさ」と居直るシーンがありますね。
私の中学時代(四半世紀昔..いわゆる第二次ベビーブーマー世代)でも「ローマ字が読めない」、「アルファベットが読めずに英語の教科書にひらがなを書いてもらう」中学生、「掛け算の九九が言えない同級生」は普通学級にもいました。別にそれらの子が家庭崩壊していた訳でもなかったです。土建屋の社長の息子で掛け算の九九が言えない中学生もいましたよ。
私も幼少期に「この勉強が大人になってから何の役に立つの?」とよく思いましたよ。
国語や英語や社会は使い道がわかるけど、高等数学や物理・化学・生物が社会に出て何の役に立つの?
私も高校時代に両親や教師の口から言って欲しかった。
でも実のところ販売業をしていた両親には、そのような高等教育が何を意味するのか理解できなかったらしい。
「良い大学に入って良い仕事に就くためだろう!」と、内田氏が著書内で書かれている通りの良くある理解不能な返答でした。こんな返答では子供が「ムダな知識を詰め込まれて時間の浪費だ。これだったら外で遊んでいた方がよっぽど有意義だ!」とふてくされてもしょうがあるまい。
教師に至っては「決して意味の無い勉強じゃないんだよ。」と答えつつ、では実際にどのような職種でこの勉強が役に立つのですか?と聞くと「いや、それは俺の立場上言えないんだゴニョゴニョ....」と言って逃げられました。
大学に進んで医療の道を志してようやく、高校時代に習った数学、物理、生物、化学の意味する事がわかりました。
内田氏のいう「何故勉強するのかわからない」子供達に職業別に必要な学問を教えるために進路指導の時間はもっと多く摂るべきだと思う。
一級建築士が構造計算をするには三角関数が不可欠だ。薬剤師や看護師になるには生物・化学の知識が必要だ。自動車のエンジンの図面を引くには物理の知識がなければならない。
少なくとも子供をキッザニアなんかに連れて行くよりは「憧れの仕事に就くにはどのような学問が必修なのか?この学問はどのような仕事の人が使うのか?」を教えた方がよっぽど子供の勉学欲も刺激されるというものだ。
ただ、「勉強するだけムダ」だという若者の絶望感を描いて終わりではなく、高等教育が社会に出てからどのようにスキルアップにつなげられるかという進路指導の改革案を掲げて頂きたかったと思う。
もちろん、全ての社会人に専門技能職になれと言う訳ではない。非熟練労働や肉体労働の方が性に合っているし楽しい人もいる。でしたら、「肉体労働は負け組」と若者に思わせないように、自ら進んで肉体労働を自信を持って選ばせられるように、今の普通科一辺倒の高校教育を見直し、商業、工業、農業、介護科といった職業訓練高校の地位向上が必要だと思う。
「今時の若者は著者の時代とは別」とレッテルを貼ってしまっては、決して今の若者の閉塞感は理解できない。
勉学をする意味が分からないなら勉学の意味を教える事が大切ではなかろうか?

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