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とんかつの誕生―明治洋食事始め (講談社選書メチエ)

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とんかつの誕生―明治洋食事始め (講談社選書メチエ)の商品レビュー

4.0 外来文化受容のひとつの典型例
内容は本題よりも副題の「明治洋食事始め」のほうがよりわかりやすい。
明治以降、日本が西洋の食文化を取り入れて、「洋食」という食のジャンルが成立していった過程を牛肉、あんパン、とんかつなどを題材にして読み解いてる。食そのものが題材でなく、食文化が題材である。当時の資料に即して着実に論を進めている。この書はあくまでも文化受容の歴史に迫ろうとしたものである。

なぜとんかつが表題になったのだろうか。
やはり洋食の王様はとんかつであるからだろう。それはとんかつがおいしいとかではなく、とんかつこそが肉食という江戸時代には一般的ではなかった食文化を最終的に日本に根付かせることになった功労者であるからである。同様にあんぱんもパンという食材を日本に定着させることに大きく寄与した存在である。牛鍋は先頭ランナーとしての功績は偉大であるが、とんかつやあんぱんの定着の度合いと比べるとすこしばかり格が落ちるのは否めない。

洋食とは日本の外来文化受容の一つの典型例である。現在の日本の食文化は洋食なしであり得ない。そんな現代文化の重要な要素の成立過程を追跡することにより日本文化の、ひいては日本の本質を探る上での重要な示唆を見つけ出すことができるだろう。
4.0 上からの西洋食化 と 下のしたたかさ
 題名はとんかつだが 要は 明治時代に 日本がどのように洋食に取り組んだかという内容である。

 明治維新は 当時の日本にとっては 驚天動地の出来事であったろうと思う。欧米の文明と文化を いささか強引に吸収していった中に 西洋料理も含まれていた点にはおどろいた。

 肉食にしても 明治天皇自身が 肉食をしてまで 日本人に薦めたという事は本書で初めて知った次第である。別に 肉食が文明開化でもないとは思うが 当時の日本人は真面目にそれを考え 「上からの西洋食化」を指導した点は良く分かった。

 一方 本当にしたたかだったのは庶民である。上から与えられた肉食やパン食を 「とんかつ」や「あんぱん」といった 自分達の食文化に引き付け、MODIFYして 全く独自の「洋食」を作り上げた精神は実に闊達であると思った。
 実際 日本の食事は 世界に例を見ないほどの「雑食」である。加えて 自分達で勝手に インスタントラーメンや カツカレーを作ってしまう程だ。
 そんな自由な精神は 例えば自動車産業などにも見られるのだと思う。「物真似が上手だ」と よく言われるらしいが それもそれで 溢れる才気の一つなのだと思う。 
5.0 日本のナショナリズムが垣間見れます
『とんかつの誕生』というタイトルで、興味が沸き買ったが、とんかつについては、本の3分の1くらいしか割かれていない。

他は何が書いてあるか。それは日本が1200年間肉を食べない文化であったが、近代化の波のなかでどのように従来の文化を変えていき、西洋人のような肉体になるかであった。
そのために、西洋文化を受け入れるのではなく、すき焼きなどのように、従来の日本の料理に肉を入れていくように、同化させていく形で食文化の近代化が行われた。
そして同化や和洋折衷の中で生まれたのがとんかつやあんぱんなど。

そこには戦前の日本人のたくましさ、ナショナリズムが垣間見れ、大変参考になった。

2.0 単なる邦書の継ぎ接ぎに過ぎない
とんかつの誕生と銘打ってはあるものの、
本書の実態は明治維新以降の日本洋食史解説書である。
肉食・パン食の受容から始まり、
和中洋折衷のいわゆる「洋食」であるアンパンやとんかつの
誕生に至る経緯が描かれている。

しかし本書は単なる邦書の継ぎ接ぎに過ぎない。
海外文献・資料の参照や、料理の経験上の考察もない。
同じ英語が出来ないにしても

小菅桂子氏などの持つ粘り強さくらいは欲しいところ。

4.0 とんかつから見る近代史
ユニークなタイトルにひかれて手にしたが中身は立派な学術書。
日本人の肉食文化受容をわかりやすく説明してくれる。
学問の楽しさを教えてくれる一冊。

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