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物語は土屋庄三郎が纐纈布なるものを手にすることから始まるのですが、そこから一気に物語は怒涛の如く一直線に突っ走ります。そのスピード感たるや、一気に冥王星まで(最近第10番目の惑星が発見されたらしいが) 6秒フラットで疾駆するかのような心持ちであります。そのあまりのスピードのためか作者自身、途中で筆を置いており、とても気になるところで話が終わっております。起承転結を小説を書く上での規範とするならば完全に破綻を来たしていると言っても過言ではないでしょう。 しか~し、この物語は陳腐で俗物的な描写はなく、そこはかとなく様々な観念論が見事に構築されておるのです。 半村良はこの作品に影響を受け妖星伝を執筆し、永井豪はバイオレンス・ジャックを描きました。
まずその妖しさからして、興味をそそられた神州纐纈城。読めば読むほど深く広がっていく世界観。妖星伝に似た感じを受けました。すると後書きはなんと半村良さんでした。宇治拾遺物語から役ノ行者、宗教的世界等、様々な設定はまさしく伝奇ロマンの決定版である。続きが気になってすぐに読んでしまい、未完である事に気付いた時には本当に残念でした。剣、槍、仮面、謎につつまれた城。。。わくわくする展開のスピーディーさは、古めの文体を全く感じさせずに物語へ読者を引き込む。登場人物がまた皆一癖も二癖もありそうな感じを醸しだし、それが一層物語の魅力を引き立たせる。いわばこの興奮は幼少の頃に読んだ江戸川乱歩の少年向けシリーズや、横溝正史のミステリー物に通じる系譜なのであろうか?おぞましくも美しく、嫌悪しつつも同情してしまう。生きたまま血絞り機械にかけられた人の血で、類い稀なる美しい布に染め上げられる纐纈布。血の池地獄は衣食住全てに満たされた極楽浄土。頻繁な場面変換を駆使した物語構成。物語中盤からさらに加速を進める人物関係、血縁関係。うまいと感じました。ペースがだれない。そして新たな謎の五臓丸!これまた人間の五臓六腑からつくる妙薬という奇想天外設定。読めば読むほど新たな伏線、新たな謎が!大正エロ・グロ・ナンセンス趣味が好きな人にもオススメですが、全くその系統を読んだ事が無い人にもオススメです。未完なのが本当に残念です。