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おかしな二人―岡嶋二人盛衰記 (講談社文庫)

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おかしな二人―岡嶋二人盛衰記 (講談社文庫)の商品レビュー

4.0 胸躍り、やがて悲しき二人のお話
プロのミステリー作家になるのがいかに大変かがわかる。
アイデアで一儲けできないかという徳山諄一と、結婚し子供もでき定職を持ちたいという井上夢人のコンビが、乱歩賞をとれれば金持ちになれるという誤った(?)思いこみで、賞取りに挑戦する。落選に落選を重ね、5年間にわたって挑む。その熱意と持続力はすごい。
この受賞までの、盛衰記の「盛」の部分は躍動していて、面白い。
受賞作、「焦茶色のパステル」の創作アイデアが実作になるまでも、細かく書かれており、ミステリー作家を目指すものには参考になる。
さて、プロのなってから、アイデア提出の遅い徳山に、井上は悩まされるが、競馬やボクシングなどに精通し、無から有を産む徳山のアイデアの原石があったからこそ、岡嶋二人の傑作が生み出されたのだと思う。
同時に、アイデア、トリックだけではミステリー小説はできない。ミステリーの醍醐味は、トリックそのものでなく、それを解いていく過程にある。効果的なプロットを組み立て、伏線をはり、動機を作り、いかに解決するかを考え、実際の文章にするには、ものすごい技術と根気がいる。ここは、井上の才能があったればこそだろう。
その二人の才能が、すれ違い出し、破局にいたる「衰」の部分は、本当に悲しい。
二人の、話し合いと分業がうまくいった最後の合作でもあり、岡嶋の最高傑作の一つ「99%の誘拐」を改めて読み返してみたくなった。(それと、実質的に井上が1人で書いたとう「クラインの壺」も)
4.0 徳さんも大変だったんだろうなー
日本では数少ない二人の合作による推理作家『岡嶋二人』の誕生
から消滅までを綴ったエッセイ。
作者はコンビの片割れであった井上夢人氏。

合作というシステムを、徳山氏と井上氏の二人は作品の量産化
ではなく、質的向上という面で生かしていたのだと思う。
だからこそ岡嶋作品が今もなを根強い人気を持っているのだろう。

しかし、それゆえに二人の間の葛藤は激しかったのではないか。
その辺の事情を、作者の井上氏は赤裸々に、包み隠さず語っている。
これを読むと、井上氏も大変だったんだろうけど、徳さんも大変だった
んだろうなー、と思わずにはいられない。
残念ながら、徳山氏から見た文章は掲載されていないが。

個人的には、さらっと読める井上氏の文章のうまさだけでなく、
徳山諄一という『毒』があってこその岡嶋作品だと思う。

岡嶋二人のファンにはお勧めの一冊。
ただ、作品のネタバレがあるので、この本を読むのなら他の岡嶋
作品を読んでからにした方が良いだろう。
5.0 恋愛小説のような「二人」の物語
岡嶋二人・・・「おかしな二人」をもじってできた、井上夢人と徳山諄一のコンビ名(ペンネーム)。誕生から消滅まで、13年間の岡嶋二人物語。ノンフィクション的エッセイ。

文学青年でもなんでもない二人が、ただ一攫千金を夢見て、江戸川乱歩賞を狙う。
ずぶの素人が、全くのゼロから「読める小説」「おもしろい小説」をモノにしていくまでの過程は、小説作法としても読め、すごく興味深い。

また、二人が互いを補完しあい、刺激しあい、助けあうさまは、作品だけでなく二人の絆のようなものも、同時に作り上げていくように思えて、愛らしく微笑ましい。読みながらにこにこしてしまう。

だからよけいに、消滅にいたる「衰」の部は、悲しくやるせない。解説に大沢在昌氏も書いてあるが、本当に恋愛小説のようだと思った。

二人の人間が出会い、結びつき、別れる。そこに恋愛感情はなくても、深いところで関わり合いつながった関係は、恋愛に似た(もしかしたらそれ以上の)強い感情を生むものになるんだろう。

ラストの別れのシーンは、ちょっと放心してしまうくらい、せつない感動があった。
4.0 悲しい物語
岡島二人はエラリークイーンのように、二人で一人の作家であった。つまり合作ですね。そのコンビは解消されたのだが、その一人のうちの一人の作家。「おかしな二人」のアナグラムというか、パロディというかで「岡島二人」になった。彼らの小説を含め、井上氏の小説は、頭をシャッフルさせられるものが多く、気分転換に良い。これは、それのエッセイなのでいろいろな裏話。喧嘩アリ、恋慕ありと、なかなか読ませる。破局へ向かうことがわかっているレールってのは、すごく物悲しいゆえに、ひきつけられる。平家物語のように。
5.0 エッセイ風岡嶋二人ヒストリー
コンビ解消から10年以上経った今でも根強い人気を誇る岡嶋二人の歴史を振り返ったエッセイ。作者はコンビの一人、井上夢人。

結成時のエピソードからコンビ解消にいたるまでの二人の心の葛藤と仕事振りが細かく描写され、ほんとにこんなこと書いていいの?と思われるシーンの続出。単なる歴史を語るタイプの本ではなく、コンビという形を通して、個人個人というものがいかにエゴを持っているかを教えてくれる一冊です。一人で生きるのも辛いですが、二人で生きるのもそれはそれで難しいといった・・・

筆者の絶妙の筆致によっていやみなく二人の間に起こった様々な葛藤が描かれていきます。それはタイトルどおりまぎれもなく“おかしな二人”でした。

岡嶋二人の小説が人気があったのはストーリーが優れているだけでなく、その文章のうまさにもあったんだなあとこの本を読んで感じました。いまだに心に深く刻まれている一冊、文句なくオススメの作品です。

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