図入りでていねいな説明だが単調感は否めない
数式をほとんど使用しないでオプション取引の基本理論をしっかりと説明しようとしたため、同じような損益分岐と確率分布の説明図が繰り返し並んでしまい、単調で退屈な印象を与えてしまっている。
内容そのものは、まじめに金融リスクの種類とポートフォーリオ理論からはじまって、現物取引とその派生である先物取引とオプション取引、さらにスワップ取引を簡単な具体例を使用してしっかりと説明した後に、「サヤ取り」とは何か、そしてブラックショールズ式がサヤの大きさから生じるオプションプレミアム価格の算定式であるということを説明している。
筆者が数式の苦手な文科系の学生を相手に講義していた時に気づいたことを反映しているため、混乱しやすいポイントを明確に抑えているところは評価できるが、上に述べた「取引の種類」をしっかりと抑えている人や数学をある程度できる読者にとっては冗長さが否めない。
また、ブラック・ショールズ式の概念は示されているが、数式を使用していないため、当然ながら式の導出はまったくされていないし、応用方法も無い。
最後に金融工学は投資によって利益を出そうとする個人や組織にとって役に立つのかという結論を求めようとしているが、筆者は開発コストが利益を上回りかねないという否定的な見解を示している。
しかし、金融工学は金融市場を読み解いていくためには今後ますます重要性を増していくのは間違いない無く、ヘッジファンドや投資銀行の失敗の分析にも大いに役立つはずである。 あくまで入門書であり、統計学と派生取引についてある程度の知識がある方は、正式なファイナンスの教科書を読まれた方が良いと思われる。
本当にわかっているのでしょうか?
『マネーゲーム』とか言っていますが、吉本さんはおそらく実務に触れたことがない人でしょう。
自分でトレーディングしたこともないのに、
実態がどうなっているか
わかっていないのではないかという感じを受けました。
よくわからないがゆえに、
この分野はよくスケープゴートとなるので
要注意だと思います。
数式を使わずブラック・ショールズ式がわかる
今はどうか知りませんが、ポートフォリオ理論からブラック・ショールズ式までを、数式をまったく使わずに理解できるような本を書いたのは、この人が初めてのはずで、非常に優れた啓蒙書だと思います。内容的には、「金融工学の悪魔」と重複する点が多いので、こちらから先に読むことをお勧めします。