現代の暴力を語り合う
こんなタイトルの割には仏教(真宗・親鸞)の話題は少なく、現代の社会問題を語りつつ、その裏にある人間のあり様とこれからのあり方(理想)を考え、ときたま補足的に仏教の教説が引用される、といったつくりの本である。はじめに三人のエッセイがあり、そのあとで真宗のお坊さんが司会をつとめる鼎談がある。とりわけ青少年の価値観、生き方、生きにくさ、それに関係している(と思われる)犯罪・自殺などが主な論点である。つまり「他人に迷惑をかけなければ何をやっても個人の自由」という思想にうなずき、「透明な存在」とは自分のことかもしれないと感じる人たちについて、どこが間違っており何が仕方なく、では私たちはいかにすべきかが話し合われる。
それぞれの個性が強すぎて、対話は全体にかみ合わない印象が強いが、それでもまあ、さすがにプロだから何とかなっている。「子供の暴力をすべて肯定すべきだ」と爆弾発言をする芹沢氏に、若いけれどバランスのとれた発想のできる上田氏が歯止めをかけ、最も人生経験が豊富な高氏が親鸞の言葉をひいたりしつつ上手にまとめる。それぞれの語りの熱気を適度に冷ましているのは、やはり仏教なんだろうか。