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加筆完全版 宣戦布告〈下〉 (講談社文庫)

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加筆完全版 宣戦布告〈下〉 (講談社文庫)の商品レビュー

4.0 是非読むべき一書(上下巻を読んで)
本書は2001年当時の日本において、有事が発生した場合に起こるであろう
状況をリアルに示した。。そこには想定外の事態に全く対応できない政治
・警察・自衛隊の姿が克明に描かれていた。その事実を知らなかった自分に
驚愕し、恐怖した。その後、現在に至るまで関連法制は整備され、状況は
変わっているらしい。だが、当時と今では何が変わって何が問題として残さ
れているのか、いまも知らない自分に更に慄然とした。
この問題は、単に当時法整備がなされていなかったということではなく、
何事も曖昧なままその時々のコンセンサス=解釈で物事に当たる国民性と、
武力問題を議論することへのアレルギー反応が根本的な問題であることを
示唆している。また、後半で描かれる、不信と恐怖がもたらす過剰な軍事力
投入の連鎖を見るとき、極限での判断を可能な限り排除する厳格な対応マニュ
アルの必要性とシビリアンコントロールの重要性は言を待たない。
戦争放棄の精神と、国民の生命と財産を守るということ。警備・防衛とは何
なのか。こうした点について、我々は単にタブー視して眼を背けるのではなく、
十分に議論する必要があるのではないか。そんな視点に立たせてくれる一書
であった。
5.0 死傷者の数に愕然
たった11人の北朝鮮兵士。これが侵入した兵士に倍する損害を日本側に与えます。しかも、その原因は末端の練度ではありません。トップの決断の欠如と我が国の憲法を頂点とする法律による制限です。
惨たらしく死んだ部下の姿に直面し、現場がクビを掛けて決断して初めて、事態は一変します。少なくとも2001年時点では、そうした決断をした人間は確実にクビになる上、刑事罰が待っていました。
その状況に至っても、相変わらず首相官邸では鳩首会談が続きます。

今、有事法制も国民保護法制も成立しましたが、事態は改善したのでしょうか。防衛庁、総務省、警察庁、そして何と言ってもこのシリーズで一貫して暗躍し、トップの決断を遅らせ続けた外務省の姿勢に変化はあるのでしょうか。
5.0 日本の危機管理体制/体勢の実態
上巻を読んだ人ならこの下巻に入るくらいになれば一気に読めます。
敦賀半島に潜伏する北朝鮮工作員の脅威を排除するオペレーションと、
裏側で浮上してくる北朝鮮本国の動向や中国の思惑などが、
次第に恐るべき事態へと発展しようとして行きます。

後半にさしかかってくると、
どんどん盛り上がって来るのに大丈夫か?
下巻じゃなくて中巻の間違いじゃないか?
と心配しますが、終りは意外とあっさりとしていました。

どうやって状況が終了するのか、というところで、
最初から別エピソードのように進行していたスパイ事件が絡んでくるあたりは、
伏線としては露骨だし長すぎる気もしますが、構成としては効いています。

日本の政治家・官僚の防衛意識のなさ(低さではない)、
それによる自衛隊のがんじがらめともいえる制約や束縛などは
他の本や『パトレイバー2』などで知っていましたが、
ここまで徹底した取材による具体的な構造問題を描いてくれると逆に爽快ですらありました。

日本の防衛問題を描いたシミュレーションとしてはトップクラスの出来で、
問題といえばディテールはともかく小説としてはさらに向上の余地があること、
あとはタイトルが作品中で浮かび上がる時にももうひとつインパクトがないこと、
くらいでしょうか。
でもそれらは迫真で精緻な内容にくらべれば大した問題ではありません。

5.0 危機管理小説の最高傑作
不審船事件やノドン・テポドンの試射など日本は幾度となく有事の一歩手前まで起こっていた。
RPG所持のテロリストには自衛隊でないと対処できない。それも武器使用が正当防衛では特殊部隊とは戦えない。
見敵即射を国民世論が許すかどうか。無論私は支持するが・・・。
この作品を全ての国民が読んで考えるべき時代に来ているのではないか。
5.0 傑作の結末は?
 緊迫感あふれる展開が続いた上巻につづき,下巻ではいよいよ命題のひとつである「自衛隊」の行動原則が緻密に描かれる。関心したのは,作者が登場人物ひとりひとりを背景描写豊かに描いていく力量。私は下巻を読みながら,トム・クランシーの作品とだぶらせていた。

 警察の特殊部隊(SAT)でも苦しめられた「現場対応」と「官僚主義」に同じように自衛隊員達も苦しめられる。読了した後の,やるせなさや虚脱感は,私だけが持つ感想ではないはず。その感覚を感じることこそが,間違いのない「傑作」である証明となるからだ。

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