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文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)

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文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫)の商品レビュー

5.0 宗教と人間

今作の中枢には、常人の見解や知識では推し量れない程の禅や宗教の来歴がたっぷり盛り込まれています。
それが京極夏彦氏作品の魅力とは思いますが、まずその説明が相変わらず長く、宗教関連に興味が無いと厳しいかもしれません。
しかしその蘊蓄に躓き適当に読み進めてしまうと、結末が腑に落ちないものになる可能性は高いです。
勿論それ以外、辞書なみの厚さも苦にならない程に今回も、登場人物や情景の描写はとても素晴らしいです。
京極堂や関口等の主要人物はさらに奥深く作り込まれ、新たな仲間(?)益田刑事が加わり、久遠寺院長が再登場と、兎に角役者には事欠きません。
舞台設定も、雪に覆われた山奥にある謎の寺院に不信な僧達、そこに現れる不気味な少女等。
いくらでも話が広がりそうな骨組となっています。
なので、シリーズ通して読んでいる方には十分満足出来る内容ではないでしょうか?


5.0 網代笠に袈裟行李。絡子に緇衣。雲水がひとり、雪を踏みしめて山を下ってきたのである。
 雪の温泉宿の庭に忽然とあらわれた僧の遺体。
 それは、連続する不可解な殺人事件のはじまりでした。
 舞台は、山の中にある「知られざる禅寺。」
 取材にきた雑誌記者たちの前で、次々と僧達が殺されます。
 警察も、修行僧達の独特な対応に捜査が混乱。
 たまたま、古書の鑑定のために近くに来ていた京極堂や小説家の関口が事件にまきこまれていきます。
 雪の寺の描写の巧みさや、禅についての中善寺の解説が面白く、とても楽しみました。
4.0 禅。
禅について、よく書かれています。ともすれば見失いがちな本文も、再三手を変え品を変え説明してくれます。そこがくどいと思われるところかもしれませんが、私には大変助かりました。読み終わった後は「禅でおなか一杯」そんな気分になります。

他の方も書かれていますが、僧侶の名前がたくさん出てきます。苗字であったり、なかったり。禅系統の説明のところでもそうですが、メモ用紙片手にまとめながら読み進めるとわかりやすいかと思います。(おお、これかぁ!と鳥肌が立つときもありました。)

登場人物一人ひとりがとても映えています。過去の作品の人物の意外な活躍ぶりに目を見張るものがあります。

前作に比べ、憑き物落しの部分が短いようですが、うまくまとめてくれます。京極堂に全てを任させていたら、もっと丸く収まっていたのかな、と思います。

決して読みやすい本ではないですが、シリーズ通して読んでいるともっと深く楽しめると思います。(人物のつながりや、過去の出来事など。)でも、知らなかったら知らなかったで、今川君の目線で楽しめます。

関君は、全く何やってるんだか…、は、読み終わった直後の正直な感想です。
5.0 京極版「薔薇の名前」?
作者の意図は解らないけど、純粋な推理小説が読みたい人は、京極作品は避けたほうが良いのでは?と思います。
京極さんは従来のミステリーの定説をわざと壊そうとしてるように感じます。(反則っぽいこともかなりアリだし)
主体がころころ変わって、それが誰だか不明だったり、登場人物が前触れなく前後不覚に陥ったり、読者をよく混乱させてくれます。(そのイライラでつい先を読みたくなるのですが)
本作は好きな作品でしたが、あまりに長いので(いつものことですが)走り読みしかしてませんでした。
改めて読み直してみて、やはりこれは京極さんが書いた「薔薇の名前」かな?という印象を強くしました。
エーコの「薔薇の名前」は昔に読んだものだから記憶が定かではありませんが、〈孤立した寺院・不可解な僧侶の連続殺人事件・宗教の歴史や確執・鍵になる本の存在・坊主を惑わす女性や衆道〉等々、登場するキーワードに類似点が多いように感じます。
「薔薇の名前」では坊主がなぞ解きをしますが、あえて禅の僧侶に畑違いの陰陽師である京極堂を相対させるところがなかなか面白い。破天荒な探偵も僧侶に負けてないところが気持ちいい。
禅の「さとり」というものを+αの知識として楽しむならもってこいかと思われます。(純粋なミステリーを好む人には、こういう予備知識的なものはかちょっとどいかも)
本作が好きなら「薔薇の名前」にも挑戦して欲しいですね。
5.0 ひきこまれる冒頭
私が京極道シリーズの中で一番引き込まれた冒頭が
この作品です。

実際、僧侶の人間関係とか動機は理解できない部分も
ありますが、それを読者に納得させるようにページを
たくさん使い丁寧に叙述されています。

日本仏教の薀蓄は、レビューに書かれている方も多いですが、
非常に分かりやすいです。

変にパターン化しないのが、このシリーズの良さだと思いますが、
この作品もあっと驚きます。

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