幸雄、たった13年の人生。
先に『天路』を読み、升本幸雄の心の軌跡を辿りたくてこの本を手にしました。衝撃。正直、目のやり場がない。・・・そんな気持ちでいっぱいです。
幸雄の生い立ちも凄まじいし、人として心底「愛される」という経験をしたことがない彼が痛ましくて仕方ないです。それでも、生きていかなけりゃならない人間というものが、やりきれないです。幸雄の母の死の真実を、彼が知って、たった13歳で自分の人生をねじ伏せてでも、やらなければならないと決めた殺人とは、一体何だったのでしょう。犯罪が、被害者の家庭も、その後の人生も、めちゃくちゃになぎ倒していくさまは、読んでいて辛いとか苦しいとかの感情を超越した、嫌な嫌な気分を私にもたらしました。被害者であり、加害者にもなってしまった幸雄。大好きだった秋元先生を刺してしまった幸雄。彼はまだ知らない。『天路』で、宗田氏が、幸雄にさせるとてつもない罪の贖いを。しかし、幸雄は宗田氏の「願い」を体現するための人物として、この世に送り出されてきてしまいました。及ばずながら、私は精一杯のキャパシティーでそれを受けとめたつもりです。