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川の深さは (講談社文庫)

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川の深さは (講談社文庫)の商品レビュー

5.0 流れの先に
私は今まで福井氏の作品に触れたことがあまりなくて、「機動戦士ガンダムUC」を軽い気持ちで読んでいたくらいなのですが、迷った末に手にした「亡国のイージス」を読んで衝撃を受け、本作でもまた衝撃を受けました。

熱い。この作者はこんなにも熱い小説を書く人だったのか。

福井氏の作品では「国家のあり方」等といった重いテーマが扱われていることが多いようですが、それよりも私の心に響いたのは、登場するキャラクターたちの心の熱さと、国家の闇や人のすれ違い、さらには絶望や挫折など、様々なものにまみれた底の見えない激流に揉まれながらも、それに負けじと進み続けようとする彼らの姿勢でした。
主人公の元警官が、とある出会いを通して今は忘れていた何かを思い出し、新たに大切なものを手に入れる過程。そして少年と少女の一途な想いと、それが流れ着く先にあるもの。
全てが終わった後のエピローグは穏やかなものですが、その余韻がとても心地良く感じました。多分、それが福井氏の作品の魅力のひとつなのではないかと思います。

今までもたくさんの小説を読んできましたが、またひとつお気に入りが増えました。確かに福井氏の他作品と似通ったところもあるし、「亡国のイージス」や「終戦のローレライ」等と比べるとボリュームも少ない感じですが、その分手に取りやすくなっていると思います。福井氏の作品に興味があるのなら、是非ご一読ください。

お勧めです。
5.0 背景の広がりと深さがスゴイ
私にとって、初の福井作品です。他作品を知らない身としては、「よくこれだけの構想を練ったものだ」というのが第一印象です。

本作での福井氏の問題提起は「情報分析力の重要性」であったと思われます。その手段として、世相を反映する事件や政治取引、軍隊運用を、登場人物たちの伏線に張る手腕に脱帽しました。詰め込みすぎ感は否めませんが、処女作は作家の思いがぎっしりであると考えれば、これが福井氏の描きたかったもの、これから描こうとしているものなのかと納得します。問題提起を発端とする、背景の広がりや深さは軽いハードボイルド小説ではないかも。

作品は、およそ現実的でない超人が活躍するものでありながら、ツッコミを入れさせない世界です。うまく人間のリアリティを被せているせいでしょうか。この点は、著者の技量によるものと思われます。本作以降もヒット作を送り出していますので、他の作品も気になるところ。

内容とは別に、英文タイトルが引っかかります。『How Deep is Your River, Mr. Guard?』。文庫化に当たって付けられた英文タイトルだとは思いますが、わざわざMr. Guardへの呼びかけがある。すべての人間にとって、何か守る存在があるということを気付かせたいのかな、と思いました。

以前、「世の中で次に起こることを知りたかったら、政治を知らなくちゃいけない」とアドバイスされたことがありました。現状、情報分析力のない私が霞ヶ関の報道を見聞きしても、さっぱり次を予測できません。情報に疑問を持つ力が欲しいな、と思うところ。
4.0 青臭いけど
青臭いけどグっとくる。福井先生の処女作らしい作品ですね。
某国と日本と米国。若者とオッサン。福井先生の基本形が既に完成されています。
最後の方がちょっと「おいおい」と言うぐらいぶっ飛んだ展開にはなりますが
概して静かに壮大な物語なので、これこそ映画化してほしいなと思いますね。

福井作品の中では比較的短い作品なので、入門にもオススメです。
5.0 くたびれた中年男だって捨てたもんじゃない
福井晴敏は、まだ30代のはずだが、なぜか40代後半から50代くらいの中年男を主人公にすえていることが多い。私も、主人公と同年代の一人として感情移入が簡単なので、福井の作品はどれものめりこんでしまうのだが、単に、状況設定が巧いだけでなく、日本社会のそして組織の一員として何十年も生きて、疲れ果て・くたびれ果てた中年男の哀感と、しかしその奥底に眠る少年のような情熱を見事に描ききっている。この作品は、「ダイス」シリーズとしての「Twelve Y.O」「亡国のイージス」を楽しむうえでも、重要な要素を持っている。
4.0 ものすごい展開
福井作品を初めて読みました。

全く事前情報を仕入れなかったので、どんな作品か楽しみに読みました。
前半は世の中と断裂したかのように冷めた日々を送っていた元敏腕刑事が、
ある少年少女をひょんなことから保護することで徐々に熱くなっていくという展開で、
スッと引き込まれていきました。所謂男臭さが良い意味で出ています。
個人的には後半、ものすごい展開になりびっくりしました。
終始、収拾つくのかなぁ?と余計な心配ばかりしていました。。

わたしのような小スケールの人間にはすこしスケールが大きすぎた、
というのが感想です。それでもおもしろいことには変わりないです。

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