浮遊する
登場人物はフリーターや契約社員・社会に出る前の大学生であったり身分不安定でどことなしか大人になりきれない情緒不安定を抱えている。まじめに働いている人間がどこかおかしいとも感じる。こういった浮遊感の中で主人公たちが漂い、作者らしい文章表現が魂を明るい場所へ誘ってくれる。
「トンネルの中で交通情報を聞こうとするようにね。・・・・そして次に目を開けた瞬間、色が弾けたんです。僕らを包む緑はありとあらゆる色彩に変わり無限に広がり始めた、この世に存在するあらゆる色があの場所に集まってきたみたいな光景でした。」
10年前の作品だが今の若者たちの心理を伝えているかもしれない。
「変」であるが故のリアル?
野間文芸新人賞受賞作。 「変」な人のオンパレード。
でも、全て「変」じゃなく、ちょっと「変」。
このビミョーさが、ミョーにリアル。
結局のところ、自分の周りも(自分も含む)こんな風に、ちょっと「変」なのかな、と思ったりもした。
表題作の他、「もう一つの扉」と「ギャングの夜」という作品が収められているが、「もう一つの扉」は抽象的すぎて、少し理解できなかった。
「ギャングの夜」のこんな一文がココロに残った。
「それって、どこかへ行きたいってこと?それともここからどこにも行きたくないってこと?」