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羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)

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羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)の商品レビュー

4.0 独特の口調、リズムに、物語の推理性が加わった傑作
他の方のレビューとかを見ていると、どうも、私は
読む作品の順番を間違えているらしい。

本来は、『風の歌を聞け』、『1973年のピンボール』そして
本作品が一連の登場人物と、その物語らしい。それで、この後は、
『ダンス・ダンス・ダンス』を読む、というのが、正当な順番
だったらしい。

し、しまった。

とりあえず、『ノルウェイの森』に、なんとなく調子が似ている
ような感じだったので、あえての大作『海辺のカフカ』を今回は
辞めて、こっちにしたのだが・・・・。

でも。ま。

やがては、どれも、読むだろうから、順番はいいか。

まだ上巻だけだから、書評を書くのもいかがなものか、
という気もしましたが、でも、文章はおもしろい。
人気があるのも、うなづける。嫌いな人がいるのも、うなづける。

なぜか?

語彙や文章が簡単。簡単な文章で綴っていく「僕」。
音楽や詩のように、日本語のストリームが流れていく感触が
心地よいのかもしれません。

でも、ときどき、独特の哲学のような、思想のような、物語の
亀裂、ノイズのような台詞、言葉がどかっと出てくる。

そんなところが人気の秘密なのかもしれません。それはさておき。

この『羊をめぐる冒険』は、物語としても、今のところ、ミステリアスで
読者の興味を引きます。乾いた感性の物語というか、独白、手紙、会話
で成りたっているのは、いつものとおりなのですが、一体、「鼠」が
「僕」に託した、北海道で取られた「羊」の写真に写った、謎の
星型をもつ、存在しえない羊、と日本の闇を牛耳るフィクサーが追い求める
羊との因果関係。

この謎が、結局、僕と彼女を、「鼠」が待つ北海道へと、運命的な旅立ちを
引き起こす。

早く、下巻を読まなくっちゃ。
5.0 初めての村上春樹
あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。北海道に渡ったらしい“鼠”の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。

この本は美容師さんに薦められて読みました。
この本がきっかけで僕は村上春樹の言葉の世界に魅せられてしまった
4.0 ダンスダンスダンスを読んでからでは、ちょっと饒舌すぎるよう
10年ぶりに読んだ。ダンスダンスダンスほど高度資本主義に対する喪失感、あきらめ感がなく、言葉あそびというか、軽妙な文体でテンポよく物語が進んでいく印象を受けた。重力が少し減ったような村上ワールドが楽しめる。
4.0 我が青春の文学を48歳にして再読
我々が大学生だった1980年頃は大江健三郎が大御所的な存在であり、村上春樹は村上龍や片岡義男とともに、まだ一部の若者に支持されるだけの不確実な作家だった。あまり知的とはいえない友人に勧められて初めて読んだ時は、ただ軽くドライで気障な文章に拒否反応を起こした記憶がある。
その数年後、もう一度読んだ時に、実は意外に思想的に深くウェットな純文学だということに気付き、以後、すっかり作者の小説世界にはまっていた時期があった。
それから25年の時が流れた。
今、もう一度手に取って読んでみると、自分の青春時代が重なって切なく懐かしいけれど、決定的に時代が移り変わっていることがわかる。
気障でニヒルな登場人物たちは、重要な場面になるとやたらと煙草を吸っているし(しかもポイ捨て!)、スヌーピーのTシャツを着てしまっていたりする。レコードから流れている音楽はボズ・スキャッグス!ちょっと寒くなってくるような設定だ。今の大学生が読んだら、かなり違和感を感じるのかもしれない。
今、改めて感じたことといえば、彼は我々と同時代の作家ではなく、団塊の世代の代表者だったということだ。学生運動の敗北によって、喪失感を抱えて生きることを余儀なくされ、そんな我が身を嘆きつつ、ドライな次世代の若者に乾いたまなざしを送る、団塊の世代。
この話の中で、何も考えていない清潔で軽い大学生というのは、まさに我々の世代(団塊より一回り下)ということになる。皮肉なことに、村上春樹はこの世代に絶大な支持を受けて育った作家といえるだろう。本人が望んだかどうかは別として、彼は今では高校の教科書にまで載っている、日本を代表する文豪の一人だ。この《羊をめぐる冒険》にしたって、大学の授業で一年かけて講義しても良いような文化史的な小説になってしまった。時代背景、若者の感じ方、考え方の変遷、興味深い歴史的資料にすらなりつつある。
村上さん、思ったよりも女性に対する見方が軽い。妻も、ガールフレンドも、ただの小道具でしかないところが、女性読者としてはちょっとムッとさせられるところです。だから〈僕〉は逃げられちゃったってことなのかな?
ストーリーについては、他の方のレビューを読んでいただければ十分でしょう。
こんな読み方もある、ということですが、内容に対する評価は☆4つ。
基本的な部分では共感、感動できる作品です。
5.0 荒野の羊
今読了したところです。素晴らしい作品でした。
思いつきにすぎませんが、この「羊」はヘルマン・ヘッセの名作「荒野の狼」の「狼」とほぼ同じものを指しているような気がします。
ニーチェのいう「権力意思」や「ディオニュソス的なもの」、バタイユの言う「エロティシズム」、三島の言う「死の権力意志」、コリン・ウィルソンの「絶頂体験」のような衝動です。人を聖人や革命家にもすれば、独裁者にもさせる「何か」。
人をして「日常」の内に満足させず、もう一つ上の次元を求めさせずにはおかないもの。生の根拠にもなれば、個人を破滅させるような宿業的な衝動を指しているように感じました。
あるいは「人が生きるはパンのみにあらず 言葉にもよる。」の「言葉」のようなものかもしれません。
また、ヘッセの「狼」とは別の要素、日本の近代における周辺異民族への侵略という要素も関係する物のようでもあります。
いずれにせよ、この「羊」は村上春樹の思想と表現の核心にあるものだと思います。

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