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煙か土か食い物 (講談社文庫)

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煙か土か食い物 (講談社文庫)の商品レビュー

3.0 前半の疾走感に比べ、後半は大ブレーキ
作者のデビュー作にしてメフィスト賞受賞作。勢いと文体だけで書いていると良く言われるが、中々屈折している。題名は人間の末路の姿から。

主人公はアメリカの病院のERに務める外科医の四郎。母親が"連続オバさん殴打・生埋め事件"の5番目の被害者になったと聞いて日本に戻る。犯人への復讐に燃える四郎は早速事件の規則性を発見し、犯人が現場に残した暗号(乱歩「二銭銅貨」風)も解く。この辺までは疾走感があるのだが、家族の描写になった途端、ジメッとした雰囲気になってしまう。4人兄弟の名前は分かり易く、一郎、二郎、三郎と四郎。父丸雄と一郎は政治家。二郎は丸雄と犬猿の仲で名うての暴力者だったが、17歳の時に家の三角蔵(祖父が自殺した場所)から失踪して以来行方不明。三郎は環境に負けて無為の人。四郎も暴力性を受け継いでいる。しかし、二郎を中心とする兄弟の回想部分が長過ぎるのである。二郎と丸雄の相克や二郎の暴力性の増長に、これ程の頁数を割く必要があったのだろうか。結末の意外性も無くなり(作者は気にしていないかもしれないが)、せっかくのテンポがトーン・ダウンしてしまった。そして、NDE(Near Death Experience=臨死体験)の挿話辺りから雲行きが怪しくなり、後半は無残な進行である。作中で町田康氏「くっすん大黒」に言及している位だから、迫力とテンポを兼ね備えた作品を目指していたと思われるのだが、後半は女々しい感傷小説になってしまった。特に、最後に対決シーンが無いのは絶対にオカシイ。「長いお別れ」を引用した意味が無いだろう。

後半ガッカリさせられたが、文体に独自性があり、物語の構成次第で面白い作品も望めそうなので、次回作以降に期待したい。
5.0 傑作だと思います
主人公、奈津川四郎とその兄弟、そして父の愛憎劇が繰り広げられる骨太なファミリー・サーガ(それほど長さはないけど・・)。
中上健次の『枯木灘』やドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に物語のカタチはとても似ていると思います。その点ではかなり古風な、いわゆる「純文学」系統の作品という印象を受けました。他のレビューにもありましたが、正直この作品はミステリーとして読まれなくても別にいいのではないか(というかミステリーとして読むと謎解きの粗っぽさがいまいち物足りない)という気がします。
最終的に兄弟と父の間につかの間であっても取り戻される愛情に感動出来れば、この作品は十分楽しめるはず。

この作品の(というか他の舞城の作品も)一番の魅力は、説明らしい説明を付さないまま、文章の持つ勢いと迫力で読者を(やや条件反射的にですが)カタルシスに導いてくれることだと思います。

主人公の四郎は散々父親への恐るべき憎しみを吐露するわりに、結末では結構あっさりと父親への愛情に目覚めてしまい、ひたすら父と兄弟、家族への溢れる愛が大爆発。そこにまともな説明はありません。正直読みながら「これは四郎、テンション上がって流されてしまっただけやろ・・」と思う一方で、読者の自分も圧倒されて、最後はちょっと泣きそうになってしまいました。
プロット自体は結構突っ込みどころが多く、あまり説得力がない気もするのですが、そんなことお構いなしの勢いと迫力が楽しめました。読みながら四郎と一緒に読者もテンション上がって大爆発で終わるはず。この勢いと迫力に流されず冷静になれる人は、やや都合の良すぎる展開にシラケてしまうかもしれませんが・・。

久しぶりに頭で理屈を考えず、テンションだけで感動できる作品でした。粗っぽいプロットにも関わらず読者を強引にカタルシスに導ける舞城の文体は素晴らしい才能、天才だと思います。
てか芥川賞、取れば良かったのに・・。
5.0 これはスゴイ
最初は苦手な感じだ・・と思ってた。2冊いっぺんに買って先に読んだ阿修羅ガールがつまんなかったし
が、この圧倒的なスピード感!に乗せられて読んでいったら・・あら、最後らへん、何故か涙ぐんでる私が。。
下品な表現の多い、暴力描写が無意味にある、私の嫌いなタイプの小説に・・。
これは暴力が芸術になってる・・そこまで言うと大袈裟だから暴力が文学になってるって言えばいいのか。
読み終わったあと恍惚感とか快感を感じてしまった。舞城文に酔ったのか、な?
とにかく最高でした。最高、二郎最高、・・・そう、とにかく二郎の存在・描写が最高でした。
5.0 こんな作家がいるなんて
なんなんだ一体。なんでこんなに胸が痛くなるのか?
初めはふざけた小説だと思った。
だが文章に慣れて、物語に入り込めるようになると、あまりのリアルな表現に
衝撃を受ける。
まったくこんな細かい描写ができるなんて、作者は体験者なのか?と思う。
自分のトラウマや、劣等コンプレックスを強烈に刺激され涙が出た。

まだ再読できる自信はないが、この本は私の宝物だ。
マイジョーありがと。
5.0 俺は俺の価値を上げなくてはならない。
ハマる人はどっぷりハマるし、
ハマらない人は全然ハマらないだろう作品。
すごく面白いけど、これはずるい。面白くてずるい。
妙に小気味良くテンポが良いからすらすらーと読んでしまうけど、
重要なことがこそーっと隠されている。
ミステリーとして期待するのは間違っています。
ちょっと頭がおかしかったり、ぶっ飛んでたり、
泥くさかったりする物語を希望される方は是非。

歯を食いしばって自分のことや他人のことに必死になって、
もがいてもがいてもがいて、明日を信じてみたり、愛を誓ったり
そういう熱さが込められた小説です。

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