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火の山―山猿記〈上〉 (講談社文庫)

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火の山―山猿記〈上〉 (講談社文庫)の商品レビュー

5.0 富士さん・・・。
どうもドラマの印象が強くって・・・。映像の力は怖い。
あくまでも、「原案」なのね。

末弟、勇太郎が主な語りべとなっている、市井の市民が生きた記録。
時代の波を被ったことも大だが、こんなにたくさんの親族が「死」に呑まれてしまう小説もめずらしい。

蛇足→「杏子」という人物が魅力的。(井川さんが演じていました。)

5.0 感動
文章は読みやすいし、登場人物は魅力的。ストーリーの流れもよくすいこまれるように読めた。最後はちょっと残念だったけどかえって女性の強さを感じられた。

なにかのインタビューで見たが、冬吾は作者の父、太宰治がモデルだという。納得した。 太宰ファンの自分にとっては、冬吾が割りと好意的に書かれているのが嬉しかった。
5.0 06年、女優宮崎あおい「出世作ー原本」として永遠に記録する
読むのに根気がいりましたが、生を受けた者の尊厳を考えさせられた作品です。

先ず、登場人物が多く、登場人物の相関関係図が必要と思った。
富士山噴火の歴史。鉱山技師そして学者である父、有森源一郎が採掘した鉱石の話。
末っ子、有森勇太郎の回想ー戦前、戦中、戦後の時代を通した有森家のルーツ、家族が歩んだ道。
又、勇太郎以外の回想もあり、上巻は時間軸まで混乱してしまった。

しかし下巻は、無頼家の画家ー杉冬吾の情死、姉ーさくらの出産から結核による死までを中心にストリーは進む。
家の没落、家族の離反と絆、情死した夫の残された妻、
自分の遺伝子を残そうとする女性の強さ、壮絶な出産、
死への恐怖、兄弟姉妹とはいえ貧しい者同士が手助けできる限界。

一つ一つ丁寧な描写は作者の想い、力量が私の体中を一気に駆け抜け、
「死ぬ時に、ああ、私にはもっと別の人生があった筈なのに、と
自分の生涯を後悔しなければならない程親不孝な事があるだろうか」
この一節に最後は震える想いでした。
5.0 分ちがたい結びつき
明治の頃、富士の麓で「有森」という名を得た一家は、構成員の誕生と死を繰り返し、代を変え、住処を変え、話す言葉を変え、広がり続けた。まるでひとつの生命体のように収縮と拡散、固着と移動を繰り返す「有森」家が描く軌跡は、「火の山」の周りをめぐる。桜子、笛子、小太郎、勇太郎、照子、杏子、キヨミ、冬吾、マサ、達彦――「有森」家の面々の分かちがたい結びつきは国境を越え、時を越え、生と死の境も越えて、私たちの胸を揺さぶる。
読むのが惜しい、先を読みたくて仕方がないのに―。幸せなジレンマに苦しみながら、長編小説の醍醐味が味わえる。カバンから取り出し、ページを開いたときの喜び、閉じたときの満足、胸に残る心地よさ、どれも上質だった。
5.0 女性の強さ
谷崎潤一郎賞を受賞したからそう感じるのかも知れませんが、何となく「細雪」を思い出しました。この作品の中でも、照子、笛子、杏子、桜子の四人の姉妹が、それぞれの性格の違いを的確に表現しつつ、「有森家」の「女」としての生き様を見事に表現しています。その強さは、火の山(富士山)や石に代表されるような「大地」や「自然」のそれのようです。
前半部分では、家に残って職業婦人として「家」を守っているのは笛子であり、後半部分の戦時の動乱時を支えるのは桜子です。その己を捨てても「男」を立てて「家」を守ろうという気迫や、その為には、何でもするという一途さが彼女たちの強さでしょう。
それに比べて、「男」たちの弱さはどうでしょうか。笛子の夫杉冬吾のナイーブさと言っていいような弱さは、酒に逃げて重大事を先送りし、ついには笛子との「愛」にも耐えられなくなってしまいます。「有森家」を守るべき勇太郎にしても、桜子や笛子の助けなしには、何も出来ません。
その女性たちの「強さ」の極致が、桜子の出産として描かれます。医者に何と言われようとも、女性としてどんなことがあっても子供を産むのが当たり前であり、それは自分の命を賭しても惜しくないものだと認識されています。
むしろ、ここにこそ女性の強さの原点があるのかも知れません。

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