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2004年に講談社ノベルスとして出たものの文庫化。 本書でも石動・アントニオのコンビが活躍(?)する。しかし、本当の主人公は、750年前に死んだフランス貴族の亡霊なのである。と言った時点でバカミスとわかってしまうのだが、爆笑できるようなタイプのバカミスではない。むしろ、騎士物語のノリというか。とにかく、主人公が格好良くてうならされる。 ちなみに、ミステリとしては評価できるものではない。 石動が、貴族の死因に迫っていくという話なのだが、結末はあれで良かったの? まあ、話としてはまとまりがついているし、ミステリとしての不出来さが小説としての価値を落としているとは思わないが。
今回紹介するのは、「キマイラの城」という殊能将之さんの本です。 二年前に講談社ノベルズから出ていたのがめでたく文庫落ちした本です。殊能さんは、ある意味当たりはずれのものすごくハッキリした作家さんで、面白い本は面白い、イマイチだなと思う作品はかなりハッキリとしている人なのですが、この「キマイラの城」はかなり面白い方の部類に入るかと思います。 ジャンルはミステリで、主人公は石動という探偵。彼の作品にはよく出てきます。ただし、この石動探偵は実際の探偵としての腕はそこそこといったところで、助手のアントニオくんの方がなかなかの腕利き。ホームズとワトスンが逆という趣向で、例えていえばエリザベス・フェラーズの「猿来たりなば」などと同じです。 ただ、役割配置のことは今までの殊能作品を読んだことがある人ならおわかりのことなんですが、彼の作品においては、前作を読んでいないとわからないなんて事はないのでそのまま読んでもらっても大丈夫です。 さて。 今回その石動探偵のもとに舞い込んできた依頼は、とある殺人事件の謎解き。しかし、石動が勇躍現場に赴いたところ知らされたのは、その事件は750 年も前のもので、依頼主は群馬の山奥に建設されたとある中世ヨーロッパをモチーフにしたテーマパークの重役でした。重役が言うには、ある日を境にそのテーマパークの社長が、自分のことをそのテーマパークに作られたお城の城主であり、自分は750年前にこの城で殺された。ついてはその謎を解いて欲しいといっているというのだ。確かにお城そのものは、できあいの新建設ではなく、ヨーロッパにあった城を解体して日本に運びくみ上げたもので来歴は確かである。 しかし、死後 750年、そんな時代の謎解きが果たしてできるのか? というよりは、本当に社長の中には750年前の城主がいるのか? 石動はわけのわからない依頼に頭を痛めつつも推理を開始します。彼に与えられた時間は僅か一日。そして、謎解きの終わりに起こるある事件はさらに事態をややこしくします。果たしてことの顛末と真相は?? このお話、樽井的にはとても面白かったです。そしてミステリ読みの僕ともあろうものが、途中の部分ではあっけなく騙されてしまいました。しかもあまりに馬鹿馬鹿しいトリックに。楽しくて、それでいてよくプロットが練られていて、それでもって面白くて。何もいうことはなく楽しめます。ミステリ嫌いの人もどうでしょうか? とおすすめの一冊です。