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袋小路の男 (講談社文庫 い 113-2)

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袋小路の男 (講談社文庫 い 113-2)の商品レビュー

4.0 3作目が一番よかった
タイトル作品の他2作品が納められている。女性目線から見た「袋小路の男」その男版の「小田切孝の言い分」の2作品がメインであり、「袋小路〜」は川端康成文学賞まで受賞したのだから、本作のハイライトであるのは自明の理であるが、私のツボは「アーリオ オーリオ」である。携帯メールではなく、手紙でお互いの気持ちをやりとりする二人。そこには、手紙という媒体特有の時差がある。その時差の間には当然ながら時間が流れている。この時間の流れは、ある種禁欲的な生活をおくる主人公の生活とダブってくる。その生活や時間の流れに憧れや共感を持つ男達は多いはず。作者は本当に男を描くのがうまいと思う。私はその上手さに引かれて、彼女の作品を読むのだが。
因みに私もZEPならファーストです。
5.0 待ってました
文庫化されるのをずっと待ってました。恋愛でも友情でもない2人の微妙な繋がりが心地よい。大切な人の為に何も求めずに突っ走る主人公が素敵で憧れるし羨ましい。恋愛に悩んだらなぜかこれを読んでしまう。大好きな小説です。
4.0 恋のような、もの。
なんというか、
報われない恋というか、
セックスなしでも続く恋愛・・・
いや、それでは心も体も満足できないだろう?
しかも高校生のころに知り合った男と。
10数年間、
ただ、ただ、振り向いてくれるのではないか、という期待を持ち続けながら
でも、叶うこともなく、
それで十分幸せなのか?
辛くないのか?
などの疑問が頭の中をぐるぐる回り続けました。

女、日向子の視点からと
男、孝の視点。
この二つを読んで初めて二人の関係が分かるんじゃないだろうか?

きっと、
こんな関係の男女は
他にも存在するんじゃないだろうか・・・。
4.0 個人的な感想
12年間片思いを続ける女性を描いた表題作。少し間違えばストーカー文学、腐れ縁、よくあるだめんずもの。なのに、この切実さ、清新な印象はいったい何だろう。理屈じゃない。不思議な小説だ。(川端康成文学賞受賞)
著者の作品の魅力として、よく男女の独特の距離感が挙げられる。表題作に加え2作が収められた本書でも十分に味わえると思う。

読みながら、日向子のように生きるには自分に何が欠けているのだろう、と考えていた。好きで好きでたまらない男性に出会えていたら・・・ その上で、自分にもう少し情熱があったら、根気があったら、積極性があったら、献身的になれたら、楽観性、しぶとさ、図太さ、自己合理化ができるたくましさ、小さなしあわせを心に蓄える純粋さがあったら・・・われに返って思う。現実に日向子の立場になったら厄介なのは目に見えているのに、どういうわけで「日向子のように生きるには」なんて仮定をしているんだろう、足りない要素を挙げてみたりしてるんだろう・・・ さらに不思議なことに日向子になるために必要と数えあげたそれらは、情熱、根気、積極性・・・とポジティブなものばかり。・・・そうか、ある意味日向子はなりたくてもなれない憧れの人なのだ、と気づく。きっと、すこし自分に似ている気がするけれど決してなれない、その微妙なずれが憧れを募らせるのだ。思えば本書に限らず、著者の作品に同年輩の女性の出てくると、つい自分と比べる。引き算をして足りないところを数えている。
そんなふうに読む小説とは、そうそう出会わない。どこが好き、と説明するのは難しいのだけれど、やっぱり著者の小説は特別なのだと思った。

4.0 セックスレスな男女関係の希望と可能性
 絲山秋子の小説にはステレオタイプな男女関係が一切出てこないから、良い意味で小説としての期待を裏切るし、セックスレスな現代(いま)を感じさせる。本作も、高校から20年近く、手をつないだことさえない小田切孝くんと大谷日向子さんの関係が綴られている。当初は大谷さんの一方的な憧れ、片思いってあたりと、セックスを抜き取ったメルヘンチックなその関係は、チッチとサリーすら思わせるほのぼのさである。セックスに縛られない男女関係というのが、これほどストレスのない、持続的な関係を生むのかという発見がある。小田切さんと大谷さんの、まさにone to oneの関係以外に、ほとんど他者が介在してこないという手法も、最近の人間関係が錯綜する小説の中にあってはかえって新鮮である。このシリーズ「袋小路の男」「小田切孝の言い分」はまだまだ読んでみたい。
 独身の叔父と中学生の姪が文通でやりとりする「アーリオ オーリオ」も、ある意味、セックスの介在しない男女関係であり、これも読んでいて、ほのぼのと楽しい作品だった。

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