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虚像(メディア)の砦 (講談社文庫)

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虚像(メディア)の砦 (講談社文庫)の商品レビュー

3.0 放送業界の裏側
TV放送業界の裏側をドラマチックに描いています。

大体想像していましたが、やっぱりドロドロした世界ですね。
読みごたえとしては、そのあたりの裏話が面白いです。

ただ、ストーリーは展開がうまくいきすぎて、
リアリティを求めるとつらいかも。

個人的にはやっぱりハゲタカの方が楽しめたかな。
2.0 表題は『虚像の砦』否、『ハイエナ』(ハゲタカに文字って)が吉!
TVメディアの情熱と哲理を訴えるテーマでこの紙数の作品に
纏め上げた著者の構成力はまずまず評価します。

ただ、物足りなさとして、大手広告代理店や芸能界、警察、政界に
なんちゃら革命って、社会的公正を欠き蹂躙する影響力をほしいままに
しようとする某団体の描写が無かったこと。更には、架空ではあるが
違和感を覚えざるを得ない、自作自演を疑われたが実のところ純粋に
平和主義の実践者に過ぎなかったとされるイスラム戦地での
拉致被害者らだけが取材される側の唯一象徴の如くであったことは残念で、
もっといろんなケースの事象も絡めて登場させて頂きたかった。TV報道に
賭ける主人公風見の行動力は間違いなくカッコイイのだが。

文庫版の426項「大衆を躍らせた罰を請けているのかも知れない。視聴者を
小馬鹿にしていた俺達だって、彼らと大差の無いほどの愚か者だった事を
思い知らされているんだ。」の下りに至っては本書を壁に投げつける衝動を
直前で思い止まる程不快を催しもしたが、これはまんまと著者の思惑に釣ら
れたと解釈している。笑いを創り伝えるあなたは何様ですか?裏とって足で
真実を追って伝えることは純粋に賞賛され得ることですか?ただ口開けた
まま音響と映像演出に誘導されるだけが総視聴者の姿だとか勘違いも甚だしい!
って分かってて焚付けてんだよね読者を。

仮に風見みたいなカッコイイ報道の裏側の一件が現実に垣間見れても、
今はTV以外のマスコミが社会に浸透して、そこに共存を図り損ねて健全な
機能を果たせなくなっちゃってるのがTVの全貌。この作品に込められた美談は
業界人こそが読み噛み締め続けるべきTV報道の哲学で成就され辛い理想だと思った。

生産強化に踊り、狩猟採集から農耕定住生活を選択して村社会密集の
フラストレーションを近隣スキャンダルゴシップで解消しプライバシー
崩壊の代価を払い始めた大昔の頃から、人類はマスコミという
ハイエナ如き生業を手にしたってのが私のマスコミ原点への解釈。
他人の揚げ足とって金取ってるんだから見紛うことなくハイエナでしょ。
ハイエナにはハイエナなりのやりかた、哲理があるんですってくらい
気概を持って頑張って欲しいものです。現実の東京豚さんはだらしないね。

最近、にっぽん紀行「黒潮の海に今ふたり〜土佐 カツオ漁師〜」
ってNHK番組がすごく面白かった。
5.0 ところで、ふざけた解説を書いている「林操」という人物。この人は一体何者?
90年代中盤以降に実際に起きた大事件がこれでもかと盛り込まれているのにもかかわらず、しかも、報道だけではなくバラエティの制作にも目を配りつつ、ストーリーが破綻することなく最後まで一気に読ませる構成力と筆力は凄い。

著者がこの小説で言いたいこと、主張したいことはあると思うが、そういう難しいことを考えずに素直に楽しむのが一番いいのだと思う。

また、こういったモデルが実在する小説は、著者がその人物をどう捉えているのかが窺えるので、ストーリーとは離れた部分でも楽しみがある。他にも触れている方がいたが、僕も思わず笑ってしまったのは、著者が、古館伊知郎がモデルとなっている人物のことを「問題外のバカ」と言い切っているところだ。著者が彼に触れているのはここだけ(しかも僅か数行)なのだが、僕も現在の彼が番組で見せる“訳知り顔”や“したり顔”をみる度にムカッとしていたので非常に印象に残った。
5.0 現場の記者と上層部との意見の対立
今までOKだったのに上司が突然ダメ出しをしてきた。。。その理由があまりにも理不尽。。。
というのはほとんどのサラリーマンなら一度は経験したことがあると思います。そういう人にはぜひ読んで欲しい本です。
わかるわかる!!という箇所があるはずです。
一般社員では計り知れない謀が蠢いているんだろうな、と思いました。
4.0 イラク人質事件
2004年のイラク人質事件の際のマスコミの報道と世論を題材とした小説。
展開の早さ、登場人物の魅力など素晴らしい筆致で一気に最後まで読ませる筆者の力量には
感服した。
また題材となっているイラクの人質事件もすでに4年が経過しており、
正直な私の印象は「そんなこともあったなー」位だった。
しかし読みすすむうちに当時のマスコミの報道や政府のコメント、これら世の中全体を
巻き込んだバカ騒ぎが思い出された。
この事件に対し、筆者は政府のマスコミを利用した世論操作の可能性を強く出している。
しかしあくまで小説内の話であり、フィクションである以上「そうであったら1番面白い」
展開にするのは当然といえる。その意味でこの小説は成功している。
実際、この事件は当時のバカ騒ぎのわりには意外と後日談が少ない。
被害者のPTSDなどを気遣っての事とは思うが、
このときの全ての国民を巻き込んだバカ騒ぎについては一人一人が冷静に事件を俯瞰し、
現在絶え間なく流れるマスコミ報道への自分自身の距離感や価値観を考えてみるのもいいと思う。

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