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デビュー作「冷たい校舎の時は止まる」で第31回メフィスト賞受賞した辻村深月の受賞後初作品の文庫版上下二巻の下巻です。 木村浅葱を操り、翻弄する「i」とは誰なのか? 下巻ではほぼ全ての謎が解けてエンディングを迎えます。 前作に引き続き、僕は謎が解かれたことにうれしさを感じる一方、再び「こんなに惜しみなくネタを使ってしまって、大丈夫なの?」と少々心配になりました。 この小説は、連続殺人事件を犯罪者と被害者の近親者の双方の立場から描いています。 僕は、どちらかというと一方の犯罪者、浅葱の立場から読みました。犯罪モノと言えば、被害者か、それを追う刑事の立場から読むものだと思っていた僕にとって、我ながら意外な読書となりました。 これは、辻村深月作品共通の独特な味わいであり、この小説の特色と言えると思います。この特色については、文庫の巻末でアニメーション監督の幾原邦彦が適切に解説しています。 悔しいけれど「月子が浅葱を救うことは出来ないのかな。」と思いながら読んでいた僕は、解説で述べられているように、僕も「誰かに救ってほしい。」と思っていることに思い当たりました。
物語の中盤辺りから終盤にかけて、どんどんページをめくらさせられます。 が、オチにあたる部分が「知らねぇワケねーだろ〜?」的に強引過ぎるのと、登場人物の 描写が浅いせいか、犯罪を犯す人たち(主犯以外も)の動機が弱すぎるような印象を受け ました。 またヒロインが作中、男性から「姫」扱いを受けている設定になっていますが、読んだ男 の意見としては、逆に男に嫌われるタイプの女性のような気がします。 著者の「冷たい校舎・・・」も読みましたが、構成力の面で完成度はかなり劣ると思います。 キビシ目に☆2つにしようかと思いましたが、陳腐ながら 「絶望の中にも必ず希望はあるんだ!」 みたいな読後感が残りましたので☆3つにしました。