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世界は分けてもわからない (講談社現代新書)の商品レビュー 生物学の伝道師
「生物と無生物との間」に続いて読んだ。生物学の研究現場をわかりやすく書き出す氏はまさに生物学の伝道師。SDSページの電気泳動の記述など、よくもここまで解説できるものだと感心した。 やや技法に走り過ぎか。
前半を読んでいる間は、それぞれの章の内容に関連性があるとは感じられず、雑誌連載が元になっているというし、それをまとめた単なるエッセイ集なのかなあ、と勘違いしてしまいました。しかし、最後まで読んでみると、あちこちの章で触れられている内容が実は全て連関していることが分かります。 瞠目するような新知識がないので。
前著の『生物と無生物のあいだ』のほうがインパクトがあった。本書は似たような知識をより文学的?に書いたもの。この文学センスは好き嫌いが分かれるだろう。私はクサいと思う。科学者ならもっと平明・達意の文章が書けなくては。筆者の主張する「動的平衡」は実はそんなに目新しい知識ではない。イギリスのドーキンスが「個体は遺伝子の乗り物に過ぎない」と発表してからもう何年もたっているではないか。考えてみれば、生きている白犬は毎日相当量の毛が抜けるが、健康であるかぎりハゲにはならないし、死毛を梳いてやれば洗わなくても白さを保てる。白犬のぬいぐるみではこうはいかない。毎日毛を抜いていくとやがてはハゲになるし、埃と手垢でじきに真っ黒になる。日々死んでいるからこそ、いつまでも生き続けていられるというこのパラドックスは、福岡先生に教わらなくても実はごくごく身近なところでわかるものだ。同様のことを「種」で考えれば、個体が続々と死んでいくからこそ、健康な種として生き続けていくことができるのだと言える。だから個体の寿命を長くする(世代交代のスピードを遅くする)ということは、種全体にとってはマイナスに働くはずだ。その証拠にウィルスなどはどんどん世代交代かつ変移して生き続け、絶対に絶滅などはしないだろう。犬は短命だからこそ、100年かそこらのあいだにこれほど多様な品種を作ることができた。犬もたぶん絶滅しないだろう。だが、弱い個体を死なせずに生かし,さらに寿命を伸ばすことに執心している人類は、果たして如何に? 書名は忘れて、読んでみよう
1980年、ある学生が研究室にやってきた。彼の卓越した実験の才によってガンについての仮説が立証された。 サイエンスと文学のあいだ
福岡伸一さんは、理系と文系の中道を歩む「博雅の士」である。(「理系と文系」という区別自体あまり意味のないことかもしれないが…)福岡さんの本を読んでいると、時折、一級のミステリー小説を読んでいるかのような気分になる。また、福岡さんは優れた翻訳者としてもよく知られている。 本の最新売り上げランキング - トップ10 | |||||||