これはすごい
ここまで良心的に描かれたマンガはなかなか知りません。
コマ一つにまで魂が宿っている。
その場に存在する空気までも描ききる画力。
童話を踏襲したような物語。
話によって人物のデフォルメの比率を変えたりと、かなり高度なこともやってのけてますが、
それらが織り成す作品群は漫画というよりは絵物語と言ったほうがいいような気がします。しかし、本当にすばらしいのですが、一つの作品についてあまりに情報が多く、また純粋であるために読んでいて少し疲れてしまったのも事実です。
私見に偏ってしまいますが、僕はマンガは漫画であって欲しいと願う人間であり、マンガが娯楽の域を逸脱することには少し賛同しかねるのです。
保守的な考えなのかなあ…
しかし使い捨てのようなその場㡊??のぎのマンガがゴソゴソと溢れてきている今の状況から考えると、こういうマンガに出合えたことは本当に嬉しいことでもあります。
ただただ、感涙
五十嵐大介氏のデビューは講談社月刊アフタヌーンの新人賞である四季賞の大賞を受賞したことに始まる。その後、大賞作の流れをくむ「はなしっぱなし」という一話読み切りの連載がアフタヌーン誌上で始まった。が、氏には月刊のペースも過酷だったようで、結局「はなしっぱなし」は時折はっとさせられるイメージを見せるものの全体的には氏独特の世界観が未消化なまま描かれてしまうという残念な結果に終わった。
そして「はなしっぱなし」連載終了後、数年経ってアフタヌーンにこの短編集のタイトルにもなっている「そらトびタマシイ」が掲載されたとき、この人は希代の天才だと確信すると同時に、この作品に出会えたことに大きな、大きな喜びを感じた。 この短編「そらトびタマシイ」は、いわば畡形、グロテスクなモノやコトが全編をおおっているのだが、それが淡々と日常に組み込まれ、読んでいて全く違和感がない。さらに描かれている物語は決してポジティブなものとは言い難いのだが、読後に素晴らしい爽快感をおぼえてしまうのだ。
連載終了後初の短編「そらトびタマシイ」が掲載された後、1年半ほどの間隔で「熊殺し神盗み太郎の涙」「すなかけ」「lepain et le chat」各短編が発表された。そしてそれら全てがグロテスクと日常、現実世界とイマジネーションの奇跡的な融合によって珠玉の作品になっている。
すべての人に是非読んでほしい1冊だ。