世代交代?
この巻では、一方では由乃(と祐巳)の妹選びの話が進行する。どちらも一定の方向性が見えたと言っていい。また、部活命なので浮いた話は絶対にない、と思われていた新聞部の真美、写真部の蔦子にも、やや遅い春が到来する。また、『バラエティギフト』以来の内藤笙子ほか、新聞部のルーキー日出実、その他多くの1年生が登場する。乃梨子・瞳子・可南子の椿組3人組に加えて聖書朗読クラブの敦子・美幸、そして、「つぼみの妹候補」として何と5人も! 乃梨子視点の描写がこれまでになく多いのも特徴だ。
そして、3年生の祥子・令はこの巻では一歩引いた立場に立っている。
というわけで、この巻は「3年生+2年生」から「2年生+1年生」への世代交代の予感を感じさせる。とはいえ、由乃が薔薇さまの称号を戴くにはもう1~2回の試練が必要だ、というのが個人的感想。
なお、小さな伏線を張っては回収する、ということをこの巻では頻繁に行っているので、丁寧に何度も読み返してほしい。
以下、順不同でこの巻の見どころを:
・乃梨子の涙(志摩子の顔が祥子と同じ!)
・可南子の手を引く祐巳
・笙子と祐巳がガッチリ握手
・姉妹水入らずのエンディング
・笙子の笑顔・泣き顔
・「親友だから」x2
・「平均の女子高生」
・江利子の千里眼(試合開始前の)
二条乃梨子ちゃんの涙が印象的だった
正直ここ最近物語が停滞していたし、なによりも赤薔薇のつぼみである福沢祐巳が二人の候補のうちどちらを選ぶのか?という部分に実は基準が存在していない。これだと、祐巳は選べません。それに白薔薇のつぼみの島津由乃が妹を選ぶにしても、全作品に伏線が出ていないので、この先どうなるかが全然予測できないのです。だから、これまでのように「次回がどうなるのか?」という期待感が薄れていましたし、未来を想像するにしてもそもそも伏線が使い切られているので、なかなか興味を持続できませんでした。もちろん、瞳子の世代に物語がシフトする転換期になってしまうので、作者としても伏線の練り直しと今後の方向を迷っていたのかも知れませんが。しかしやっと、物語が動き出した気がして、時間が非常に気になる。まぁまだ序章という感じですが、個人的には瞳子を思いやる乃梨子ちゃん涙には、非常に感動した。こういう「わかりあう」雰囲気ってのは、多分男社会には、あまりない世界だなーとちょっと感激。