もう少し素朴な観察を文章にしてほしかったかも。
日本人にこんな優秀な高校生がいるのか!!と驚かされるぐらい、本書の内容は全体として大人びています。
しかしもっとも興味深く読めるのは、逆に大人びていない箇所ですね。とくに一章。9・11以降のアメリカ人の不安と焦燥感の高まりが、高校生の素朴な視点から描かれていて、他の人には書けない優れた報告になっていると思います。 後半になると著者の政治論・歴史論が増えてくるのですが、その辺りは正直なところ、刺激になりませんでした。著者の主張よりも、もっと、アメリカの学生たちに対する観察、解釈に軸を置いたアメリカ論が読みたいというのが僕の個人的な感想です。そうしてこそ、著者のオリジナリティが出てくるのではないでしょうか。
でもまあ、一読の価値はある良い本だと思います。
著者の”立ち位置”が見えにくく感じました
”若さ”を強調するタイトルとは裏腹に、年齢を感じさせない、著者の冷静な観察眼と洞察とによって書き進められた本書であったが、年齢を感じさせないが故の”違和感”が、一読して強く印象に残った。
その”違和感”とは、「著者の拠って立つところが見えにくい」ということである。
確かに、俯瞰してみれば、「日米の違い」を探る視点からは「日本」が何らかの”立ち位置”になっていることは間違いなく感じられるのだが、
”戦争”はとどのつまり、人と人とがきっかけとなっておこすもの、すなわち「人」というところに注目した場合、彼女の”立ち位置”が途端に見えにくくなる。
つまり、「国」や「社会」という1つの”組織体”に焦点を当てた観察眼/洞察には理解し、時には同意できるところもあるのだが、「人」というミクロに焦点をあてて読もうとすると、著者自身の人となりも見えにくく、また名前が紹介される(著者を取り巻く)アメリカ市民1人1人の人となりも見えにくいことに気付く。
全般を通じて、非常に「概念」「理想形」を軸とした観察眼/洞察になっているようにみえるところが、”戦争”の本質に迫りきれていない(むしろ本質から目がそらされてしまうような)感を受けることになり残念。
社会の裏表、人間の裏表を理解する試みを継続しつつ、それを超えるような著述活動を今後著者が目指されんことを祈念したい。
特にその「裏表」の間にこそ、戦争/暴力といった争いの根源、そして苦悩が潜んでいるはずだから・・・。
その過程で、自ずと著者の”立ち位置”が行間から現れてくるに違いない。(もしかしたら著者は”立ち位置が見えない”書き手を志向しているのかもしれないが、”立ち位置が見える”というプロセスを経た後にはじめて、"立ち位置の見えない”書き手としての大成の道が見えると考える)