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姜尚中の政治学入門 (集英社新書)

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姜尚中の政治学入門 (集英社新書)の商品レビュー

4.0 リアリズム
入門とはいえ、中身がやや薄い。
しかし、著者の経験、思考方法のエッセンスが見える。基礎的参考文献の紹介も役に立つ。
リアリズムとしての、平和、反戦、対話の有効性をアピール。それは、近年、左翼とみなされがちな著者の抵抗でもあろう。著者は左翼イデオロギストではなくリアリストなのだ。

1.0 政治学
 著者は冒頭で現在の日本には構想力が枯渇し人々が砂のようにバラバラになっていると述べる、
そして軸足を東アジアあるいは東北アジアにおく物語はありえるのかと説く。
 既に刊行された東北アジア共同体論でも述べられているように「これから中国は最もと民主主義らしい国になる可能性があるのです。」と述べている。
 その点からいえば
目指すべき国 中国
その前段階 北朝鮮、イラク
バラバラな国 日本、アメリカ、イギリス
という著者の政治学的視点が理解できよう。
 多くの政治学者の紹介ともなっており
ヴェーバー、鈴木、トクヴィル、丸山眞男、ホッブズ、アレント、姜尚中、イェーリングなどの偉大な政治学者たちを知ることもできる。
 そして最後に「第六感」を磨けと若い人たちに訴えかける。これは重要な指摘であろう。
なお執筆年である2006年に気づいたこととして次のことを述べている。名前をあげていない恩師だという藤原保信に関して、ブッシュ政権でネオコンが話題になったとあるが、
実際は95年からジャーナリスティックな世界では話題になっており、日本アカデミズムで話題になったのはブッシュ政権からではなく、
9・11からだといえよう。
 そしてテレビで刷り込まれたものとして、毒ガスで苦しむクルド人の姿をあげ刷り込みで或ることを強調している。これは世界でも唯一の指摘であるといえよう。
 実際数年前、東京大学から出版されているUP誌ではイラクだけでなくトルコでも虐殺されるクルド人論が連載されていた。
著者も述べるようにこのようなメディアの問題がイラク戦争を惹き起こしたりトルコのEU加入を疎外しているのであろう。
本書は様々な切り口から言って新たな思想の誕生をつげる書物であるともいえようか。
4.0 「干物」と「生もの」のリンク
アメリカ、暴力、主権、憲法、戦後民主主義、歴史認識、東北アジアという
7つのキーワードを、政治学的視点から解題していく。

憲法の章は示唆的。筆者は日本は不完全国家であるという主張をしている。
それに対して憲法改正をして日本の完全国家化を志向する人々がいる。
しかし、憲法とは元来、国家の権力を抑制するためのものである。
筆者が警告しているように、不完全国家であることの意味を問わなければならないだろう。

文庫なので読みやすく、政治学の入門書としては手頃な感じ。
巻末に簡単な人物・用語解説が付いていて、政治学の知識を補ってくれる。

ただ、筆者の主張が強いため、「学問」の入門書としては扱いに注意が必要。
政治学の視点から考えたからといって、彼の主張と同じ結論が導かれるわけではない。
批判的に読める人ならば問題はない。

あとがきでも書いていたように、日本が現在抱えている問題など、
「生もの」が混じった構成となっている。
そのため、数年後には価値が薄れていくだろう。
読むならば、今、読むべき本だといえる。
3.0 分かりやすいというより、雑ぱくな読後感
多くの問題意識が提議されているが、結論が十分に表されていない印象を持った。
政治学入門というタイトルは本書の中身を表していない。例えば、「一政治学者が抱いた現代日本への問題提議」みたいなタイトルの方がふさわしいかもしれない。
しかし、昨今の憲法論議に関して、憲法九条とともに二〇条政教分離原則もセットに議論を深めるべき、との指摘は興味深かった。
4.0 眼からうろこ
 私はいわゆる文系でなく、政治社会学的な知識に乏しいのだが、それでも政治社会に関心を持ち、自分なりの考えを持って理解に努めてきた。この本を読んで、なるほどと思うことが多かった。なぜ個人や数名の仲間の間で自明と思えることが政治社会の規模になると、一筋縄でいかなくなるのかが、ある程度理解できた。もちろんこの本は入門書で、多少単純化して書かれていると思うが、本業を持ち忙しい社会人が原本を読み込むことは不可能なことで、それを持ってこの著書の欠点とは言えない。なぜアメリカがああした外交姿勢を取るのか、日本の戦後が不消化のままか、著者の説明には得心の行くところが多い。政治学の専門家の意見は傾聴に値する。人によってはやや断定的すぎると思われる人もあろうが、自分の見方を持っていればバランス良く理解できると思う。

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