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人権と国家―世界の本質をめぐる考祭 (集英社新書)

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人権と国家―世界の本質をめぐる考祭 (集英社新書)の商品レビュー

4.0 ジジェックの発言の真意
ジジェクの論文、
「パリ暴動と関連事項にまつわる、物議を醸す考察」と
「人権の概念とその変遷」の二本と、
彼の自宅でのインタビューが収録されています。

ジジェクの著書を読むのは初めてなので、
予定調和的に自分が予想する論理展開とかなり異なる
彼の論理展開に驚かされました。
特にインタビューでの発言に。

ただインタビューの中で、自分が表明した意思や論文は
誰かの思考を促すために行ってたことで、
自身のほんとうの考えとは異なる、とあり
どこまで彼の発言を間にうけていいのかも考えさせられました。

繰り返し、彼が述べているように、
人が考えるためのエポックメイキングなのかもしれませんが。。。
2.0 アンチの立場だということだけがわかる
レイ子さんがスロベニアの哲学者(有名な人らしい)にインタビューした対談と、哲学者の短い文章2本を交互に合わせたもの。

内容はかなり空虚だった。『人権と国家』について書いているつもりなんでしょうが、哲学者の引用や、映画の意味論みたいな話が続いて、そもそも、何を論証しようとしているのか不明。読むに耐えずに、途中からはパラパラ。対談も、基本的にはアンチグローバリズムの立場なんでしょうが、突然、鎖国が良いと言ってみたりするんだけど、イメージ以上のものではない。結局、「アンチ」の立場で刺激的なフレーズを、衒学的なお化粧を施して並べているに過ぎない。こんなんで若い人を騙しちゃいかんよ。まあ、騙される方も騙される方かもしれない。レイ子さんの評価も急落中です。

ひょっとすると、プレップスクール的教育の欠点が見えているのかもしれないとも感じた。学校内でのディベートでは衒学的なお化粧(つまり、難しそうな哲学を引用すること)が結構武器になりそうに思える。特に、若い人の間では。それに接しているうちに、その価値観にどっぷりと浸かってしまうのではないだろうか。かの国の教育の実際にはなかなか触れられないのだが、レイ子さんという窓から見えることは、いろいろと教訓的で参考になる。
1.0 世界の本質を語る資格も能力もない
ジジェクのような還元論主義的思弁家ラカニアンに世界の本質を語る資格も能力もない。
3.0 ポストモダンの思想、あるいは死相
 かつてアメリカの偉大な文学『白鯨』の中で、エイハブ船長は自らの悪の分身ともいえる巨大な鯨モービイ・ディックを執拗に追い続けた。そして今日アメリカは自らが育てたイラクというオブセッション(強迫観念)にとりつかれている。フロイトが『モーセと一神教』で述べたように、あらゆる国家・共同体は、かつて「抑圧したものの回帰」に絶えず恐怖を感じている。
 私は、今日のグローバル資本主義の下で、国民国家が揺らぎ、近代以前の「抑圧されたものの回帰」が起こり始めてきているように思う。その根底の無意識ではあらゆる葛藤・矛盾・闘争が渦巻いている。国家はそれを何とか押し止めよう・抑圧しようと強権支配・管理システムを整えようとしている。中国やロシアではかつての「帝国」(王朝)が地面から再びせり上がってきている。
 そして私たち自身は自らの無意識(エス)の「死の欲動」(攻撃性)を制御できなくなりつつある。ジジェクをはじめとするポストモダンのイデオローグはこの状況を鋭く認識している。そして今行動よりも理論が必要とされていると強調する。この本書『人権と国家』は、日本の一市民として異論も含めてこの問題を考えさせる多くの刺激的な毒を盛られた一冊である。
3.0 話を引き出す力
その若さで、あのスラヴォイ・ジジェクと渡り合う訳者の岡崎氏には感嘆を禁じえない。
正直、対話になっているのかというと、ジジェクが一方的にしゃべっているだけではあるが、やはりそれも著者の「話を引き出す姿勢」がもたらしているものだろう。

ジジェクの論については、訳者自身も全面的に賛同しているわけではない、というが、実際読む人ごとに評価はことなるだろう。
私は、賛成6割反対4割、といったところ。

ただ、内容云々以前の問題として、訳文のこなれてなさ(特にインタビュー部分)が気になってしょうがない。
ジジェク自身の表現にも問題があるのだろうが、それをうまく汲み取ってこその翻訳であるはず。
途中で読むのが苦痛になってきてしまった。

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