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M8 (集英社文庫 (た61-2))

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M8 (集英社文庫 (た61-2))の商品レビュー

5.0 理系的に正しいパニック小説
理系的に正しいパニック小説
シミュレーションの手法なども構造力学系の人にはなじみ深いであろう
あと弟者から聞いたのだが、自衛隊に入るときに志望動機を災害救助だっていうと
本作とは違ってお断りされる傾向があるんだそうなのでご注意あれ
まあ狭い意味での本業じゃないからなあ
4.0 地震への備えの大切さを再認識させられました
前半は地震予知に携わる科学者のジレンマがよく描かれていて身につまされました。そして、後半の地震発生からの描写は特に真新しいものはないのでしょうが、地震の恐ろしさを十分に伝えてくれるものでした。実際には、本書のようにある程度十分な対応体制が敷けたときに地震が起きるはずもなく、しばらくはどこからの援助も来ない、もっともっと悲惨な状況なのだろうなと思うと空恐ろしい思いがしました。
リーダーシップを発揮して果敢に行動する都知事と優柔不断で役立たずの総理という対比は、石原対安倍と具体的にイメージできて面白かったです(福田さんが危機管理に強いかどうかわかりませんが、安倍さんはいかにも国の危機に直面したら真っ先に腹をこわして機能不全に陥りそうな印象ですね)。
 本書を読んで、家具の転倒防止器具の点検と防災用品の確認、さらに家族皆に万一のときの避難場所とか災害時伝言ダイアルの使い方を再確認しておきました。
あまりに荒唐無稽な「ミッドナイトイーグル」とは同じ作者の作品とも思えない感じで、一読をお勧めします。
4.0 科学と疑似科学のコラボ
2007/10/1から一般向け運用が始まった『緊急地震速報』に影響されたわけではないが、地震予知(むしろ予測かな)を題材にした本作を読んでみた。
さすが理系出身の作者(専門は原子力工学らしい)だけあって、シミュレーションで地震予測を行うという設定は面白い。ただ、所々にマイナスイオンやら宏観現象(地震の前に動物などが奇妙な行動をとるといったやつ)といった現時点ではオカルトチックなネタが出ているところには突っ込みを入れたくなってしまったw
展開も早くさらっと読め、暇つぶしには最高だと思う。
5.0 阪神大震災の経験
私は12年前の阪神大震災の時、その直下にいました。
現在は東京に住んでいます。
今でも東京の小さな地震のたびに恐怖を思い出し、動悸が激しくなります。
また映画やテレビの地震のシーンでもとても不快な気分になります。
そのためなるべく地震のことを考えないようにしてきたように思います。
今回この本を手に取ったのはそんな自分自身に区切りをつけ、地震に向かい合ってみようと
考えたからです。ちょっと大げさな表現ですが。
よく東京であのような大地震がおこったら「どーせ皆終わりだよ」なんて、
軽口をいう人がいますが、そんなことは決してありません。
阪神間でのあの自身の死者は約6300人。神戸人口の0.5パーセント以下です。
それでも未曾有の大災害には違いません。
亡くなった方に失礼な表現化かも知れませんがしかし99.5パーセントの人は生き残るのです。大切なのは生き残った時の備えです。
私は阪神大震災の時は学生でした。
今は結婚して子供が一人います。守らなければならない人がいます。
この小説では東京直下型地震で約20000人の方が犠牲になると想定しています。
やはり0.5パーセント以下です。
私は生き残ることを大前提に備えをする必要性を考え直しました。
阪神大震災を経験した私にこの小説の小説としての完成度やストーリーを
冷静に分析することはできません。
ただ、この小説は私に地震への備えの気持ちを再認識させてくれました。
4.0 地震対策の未熟さに対する警鐘本
東京直下型のM8の地震が起こるストーリーで、阪神大震災の被害者である地震研究者を主人公に置き、地震が起こる前後の状況を描写している。前半は、主人公が我が国では一般的でないコンピュータ・シミュレーションと、気象・動物の異常動態の合わせ技により近日中に東京直下型の大地震が発生することを予知し、それを何とか政府首脳にインプットし、対応策の発動を求めようとする展開。人間の性向上当たり前のことだが、起こるかどうか分からない将来の事象に対して本気で備えるための決断をするのは、たとえば現在の温暖化問題への対応を見ていても分かるようになかなか現実世界でもできることではない。

後半は実際に地震が発生してからの初動対応について。ここでは自らリスクを取って次々と能動的にリーダーシップを発揮する都知事と、優柔不断でなかなか判断を下せず対応が後手後手にまわる総理大臣(実世界でも同じか)をうまく対比させながら描写している。有事の際にこそリーダーの器の大きさというのが試されるのだなあということをしみじみと考えながら通読した。

文献からのインプットだけでなく、地震の被害者への取材をきちんとやればもう少しリアリティを出せる部分がありそうなのがちょっと残念だが、なかなかの出来の作品だと思う。

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