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光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

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光の帝国―常野物語 (集英社文庫)の商品レビュー

5.0 ひそやかに生き、つないできた特殊な能力を持つ常世の人々を描いた短編集
一つ一つの物語は短くて、時系列に並んでいるわけではないので、人物とその能力、物語同士のつながりの把握のため二度読み直しました。世界の端々でそれぞれの物語や生活を持つ常野の血をひく人々が、知らず共通した何かに大きな仕事に向かっているという大きなくくりの中、彼らの壮絶で悲しい過去と謎が解き明かされてゆくのですが、わたしは表題の「光の帝国」と不思議な一家とこころある先生との交流があたたかい「大きな引き出し」が好きでした。それから、何十年も校長先生をしているツル先生が見殺し(ではないけれど)にしてしまった子供たちとの邂逅が描かれる「国道を降りて…」も。常野の人々は遠くの音を聞き分けたり、知識を際限なく覚えたり…といった特化した能力を持っているのですが、多くのファンタジーのように不死身でも、一般よりも丈夫なわけでもなく、ある意味では一般の人々と同じです。彼らは、静かに目立つことをせずに暮らしていても、しらず見出され、一部の目立つ能力のおかげで、ひどいめにあったり阻害される可能性を持ち続けています。常野の人々はいつのまにか、わたしの住む世界のある人々と次第にかさなってゆきました。すべてを読んだ後で、「光の帝国」の中の「お祈り」を読むとすべてが凝縮されたものを見たような気持ちになりました。苦渋の中の自己肯定の継続という難しいことをしてきた常野のこどもたちには頭がさがる思いでした。はじめは、「光の帝国」のあまりの辛さに安全さを感じないと書いたのだけれど、それをがんばって読んだあとには贈り物をもらった気持ちになりました。
4.0 いつかこの場所へ
もしかしたら、自分の居場所はほかにあるのではないか。今ここではなく、どこか遠くに。子どもの頃、そんなファンタジーを持ったことはありはしないか。
なにか特別な力を与えられ、なにか特別な運命の元に呼ばれ、なにか特別な使命を背負い、なにか特別な仲間と出会い、なにか特別な私が生まれる。
しかし、少数派であるというだけで「特別」になってしまう側から見ると、迫害される悲しみがあるかもしれぬ。ただ当り前に生まれただけであるのに、特別なものを勝手に用意されてしまって。
そんな葛藤を織り込みながらも、すっきりと淡く優しく儚げに、幻が田舎の風景に描き足されていくと、とても魅力的な人々が透けて見えてくる。

常野の一族の伝説や噂話のような、遠くのほうに位置する物語から始まり、読み進むにつれて、少しずつ、どのような一族であるのかがわかるような順序で収められている。
読み終えて思う。光の帝国は子どもたちの帝国。子どもが子どもらしく、その子らしく過ごせる、そんな世界であるのではないか、と。
読み終えたときは、きっと少しきれいな顔になれるだろう。
4.0 永遠の光を求めて
東北の名もない村、「常野」から来た人々には、不思議な力が備わっていた。
膨大な書物を記憶する力、未来を見通す力、遠くの出来事を「見る」力、空を飛ぶ力…。

彼らは、一様に穏やかで、知的で、権力への志向を持たず、普通の人々の間に、
ひっそりと生きているのだが、その能力ゆえ、時として過酷な運命や
果てしない戦いに挑み続けることとなる…。

不思議な能力を持った「常野」の一族をめぐる連作短編集。著者は「ノスタルジアの魔術師」
と称されているらしいが、確かに「夜のピクニック」や「六番目の小夜子」にも通底する
ノスタルジー色を感じる。

また、「しまう(仕舞う)」とか「裏返す」とか、常野一族の能力とそれをあらわす言葉が
また面白い。

それと、お約束かもしれないが、「超」能力者たちが能力ゆえに直面する苦悩や
悲劇についての、十分共感できる「お話作り」の手際の良さは、ストーリー・テラーの
面目躍如であろう。

全部で10の短編が収められており、一部関連のあるものもあるが、基本的にはそれぞれが
独立しており、また、いずれもto be continued といった終わり方なので、続編を
早く読みたくなる。

しかし、これだけ様々な物語を作ってしまうと、これをすべて収束させるのは大事業だなと
ひとごとながら心配してしまう。全10巻、ぐらいじゃすまないのではないだろうか? 


3.0 短編には大き過ぎる題材
人の情とはまた違う、常野村の人々が持つ温かさ―

短編で収めるには大き過ぎる世界観を、一つに凝縮し切れていない感じがする。
もう少し中編〜長編で纏めたオムニバス辺り構成とか使い、一話か二話辺りの話をもっと広げた方が面白そうだと思ってしまった。

しかしながら、世界観とストーリーの高さには肝を抜かれた。
超能力が活躍するでも人情を説くでもないのに、何故こんなにも温かさを感じられるのだろう?

暫くは、涙が止まらなかった。

もしかしたら、長編や中編を書いて初めて゛生きる゛作家なのかもしれない。

あったら探して読みたいと思う。
2.0 文章が読み易いだけ
家族愛や男女の愛をマンセーしたありふれたオムニバス。
初めて小説を読む小学生にはお勧めだが、
スレたおっさんが読んでも何も残らない小説。
恩田陸がこんなに馬鹿だったとは期待外れも甚だしい。
小澤征爾のエピソードは逆効果である。
小澤征爾の父小澤開作は、
板垣征四郎と石原莞爾のファンなので、
息子に征爾と名付けたのですよ。
愛を賛美する小説なので当然戦争には批判的だが、
小澤征爾をマンセーしては自己矛盾である。
ユダヤ人の超能力者一族がアドルフ・ヒトラーを褒め称える小説があったら、
変だと思うだろ?
例えが飛躍しすぎたが、この小説はそういうような無神経なことを平然とやっているのだ。
単純に恩田陸に教養が無いだけの問題かもしれないが、
知性と教養溢れるおっさんには恩田陸は必要ありません。

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