ありふれたごく普通の日常
アパート「ホテル カクタス」に住む帽子と、きゅうり、数字の2が主人公のお話。話の内容としては、ありふれたごく普通の日常の一部を切り取っただけの話ですが、人ではないものをあたかも人のように主人公として描いているところと、ページのところどころに現れる佐々木敦子さんの挿絵によって、非常に不思議なものへとなっています。
3人(?)の間にできる友情も非常に心温まるものがありますが、何よりこの本から考えさせられるのは「人」と「日常」についてです。
主人公が帽子と、きゅうり、数字の2であっても、僕は彼らをいつの間に「人」として物語を読んでいました。なぜならば、彼らの間には「関係」が存在し、また彼らは仕事を持ちアパートで生活をするという「社会」の中の存在であるからです。こうして考えてみると、生物学的な「ニンゲン」という点よりも、他者との関係性を持ち、社会の構成要素であることが「人」の定義ではないのかなと思います。
それから、この本の中で描かれていることは、この3人が酒を飲んだりとか、音楽を聴いたり、失恋をしたりといったごくありふれた「日常」です。しかし、それがなぜこうした不思議で癒される物語になるのか。作者の表現力という考え方ものあるとは思いますが、僕はそうではなく、「日常」を捉え直しているからであると考えます。
何気なく過ごしていれば、何気なく過ぎていく「日常」。しかし、ちょっとした意識の違いで面白いものがそこにはたくさん隠されている。
こうしたことを作者は言いたいのではないだろうか。
とりあえず、読んだ後に何となくいい感じになりました。