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東京物語 (集英社文庫)

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東京物語 (集英社文庫)の商品レビュー

4.0 奥田作品の中では、一番好き
半自伝的小説と知って、ますます好きになりました。自分の過去を振り返って、良いことばかりではなく、
嫌な思い出も小説にしてしまうなんて、勇気があるな〜。少々尾ひれをつけたりしてるかもしれないけれど、
気負わずに書いていて好感が持てました。

会社をすぐに辞めてしまったり、上司に都合良くこき使われたり、当時の彼女や学生時代好きだった先輩との
思い出や、関連会社の人に怒られたり、ひょっこり出来上がったコピー「ダブルファンタジー」が通り、嬉し
くて仕方がなかったこと、当時の悩みごとや友人のこと等々…

過去のことを書いているだけに、懐かしいような切ないような、上京したばかりの
地方出身者が、必ずといっていいほど感じる戸惑いと心細さが、とても愛しく思えます。

将来もっとビックになろうと野心をのぞかせている一文がありますが、現在、ファンがたくさんいる
この作者にとても感心してしまいます。
半自伝的小説だったとしたら、こういう人には、ぜひ、これからも頑張って欲しいなと思います。
5.0 温かくてちょっと切ない、奥田英朗の描く『青春』
1959年生まれの主人公田中久雄が上京してから30歳になる直前まで、つまり1980年代を描いた連作短編小説です。主人公と同年代の方はもちろん昔を懐かしみながら作品を楽しめると思います。

またそうでなくても、私のように80年代後半生まれで今まさに20代を謳歌している人たちにとっても非常に面白く読める小説です。

この話は各章ごとに読んでももちろん面白いですが、私は一気に読むことをオススメします。まぁ私がオススメしなくても、非常に面白い作品なので一気に読んでしまうとは思いますが…

この話がなぜ一連の「長編小説」ではなく「連作短編小説」のような形をとっているのかを私なりに考えてみました。それで思ったのは、その短編によって主人公である久雄の『変わっていった』部分と、『変わらない』部分をうまく見せるためにそのようにしたのではないか、ということです。

音楽評論家になりたいという密かな夢を持って上京した18の頃…
浪人の末大学に入って初めての恋人が出来た19の頃…
仕事に慣れてきて少々天狗になっていた22の頃…
初めてのお見合いでドタバタした25の頃…
同級生の結婚の前日に羽目を外そうとした20代最後の秋…


置かれている境遇は全く違い、周りにいるメンツも違いますが、他人に振り回され毒づきながらも、密かに夢を描いている青年という主人公の「私」は変わらないままそこにいます。

変わっていく自分と変わらない自分、変わっていく世の中と変わらないままの世の中…

本作を通じて人生、青春というものの切なさや大いなる可能性というものを感じさせてもらいました。大好きな一冊です!!
5.0 80年の上京物語
1980年前後に上京してきた主人公が時代背景と共に変わっていく様子が伝わってきました。
バブル期へ向かっていっている時代背景もしっかりと描かれています。
当時はこのような青年も結構いたのでは、と感じました。
この本を読むと、上京してきた当時を思い出して上京後の自分を懐かしく振り返ってしまいます。
4.0 上京経験のある人必読
田舎から上京して一人暮らしをした経験がある人には、感慨深い作品です。
自身の経験を思い出して、懐かしく思うことでしょう。

とても軽いタッチで書かれており、読みやすい娯楽作品です。
5.0 現在に至る奥田英朗の最大の持ち味を、最初に世に知らしめることとなった作品
この奥田英朗初の短編集「東京物語」は、決して派手な作品ではないが、奥田英朗の傑作の一つであるというだけでなく、現在に至る奥田英朗の最大の持ち味を読み取ることができる最初の単行本であるという点においても、注目すべき作品だと思う。 

奥田英朗は、小説家としてのデビュー前に、後に「延長戦に入りました」の題名で単行本化されることになるエッセイを連載しており、そこでは軽妙洒脱な奥田節で、しっかりと笑わせてくれている。彼は、非常に短編の多い人なので、その作風の変化を、単行本化の順番で読み取ることは全くできないのだが、少なくとも、デビュー後の「ウランバーナの森」、「最悪」、「邪魔」では、すっかり影を潜めてしまっている彼の最大の持ち味である軽妙洒脱さと、彼が非常に短編の上手い作家であるということを、最初に世に知らしめることとなった単行本が、この「東京物語」であるとはいえるだろう。 

ここに納められている6作の中では、「レモン」と「バチェラー・パーティー」の出来が最も良いと思う。特に、「レモン」での、デリケートな女心に鈍感で、自分が女の子に好かれていることにも気が付かないという、いかにも、多くの男性が身につまされそうな田村久雄が何とも微笑ましいし、ほんとはすごく繊細な自分を隠すために、わざと乱暴な口をききながらも、終盤では、すっかり恋するかわいい女の子になってしまうという小山江里のキャラクターも、いとおしくて、たまらないのだ。 

ところで、この「レモン」を読んで、物凄く気になったことが、一つある。この「東京物語」は、奥田英朗の自伝的小説とされているのだが、女子学生たちから、「鈍感」、「がさつ」、「デリカシー欠如」と、絨毯爆撃を受ける「田村久雄」と、後に、女心を知り尽くした「ガール」を書くこととなる奥田英朗との間には、あまりに落差がありすぎるのだ。その後の田村青年に、一体、何があったのだろうか? 

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