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ナイロビの蜂〈上〉 (集英社文庫)

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ナイロビの蜂〈上〉 (集英社文庫)の商品レビュー

2.0 翻訳が悪いのでしょうか?
他の皆さんが絶賛されていらっしゃる通り、単なる恋愛絡みのサスペンスとは異なり、深く難しいテーマを扱った壮大な作品であるのは確かです。が、後半どんどん文章が平らになっていくので正直読みきるのに苦労しました。また、日ごろ日本の純文学を多く読むせいもあってか、不自然極まりない日本語が気になってしまい、余計に読む速度を落とされました。自分がバイリンガルなせいか、原書はこういう表現だったんだろうなぁ…でも変な訳だなぁ…とページ毎に思う始末。原書を読めばよかったと後悔しています。
5.0 繊細な描写と構成
この本の良さは、何と言ってもジョン・ル・カレの繊細な描写と構成で描かれる、テッサの死の謎を追うミステリーとしての緊迫感と意外性だろう。その謎の追究は、どんどん深みに入って行き、どうにもならないような巨大な力に対抗して行くという、ある意味、不可能へ挑戦してゆく。
そうしたミステリー性の中に、この外交官夫妻の特殊な夫婦関係、外見的には疎遠なようで実は深い愛情に基づいた関係が見えてくる。そこから、ジャスティンの考えられないような謎の追究の旅に説得性を与えている。
もちろん、この本の中で描かれる巨大製薬会社の不正の問題も大きい。利益のための副作用の不十分な検証、アフリカにおける人体実験とも言えるアフリカへの薬の投与、金による脅迫による科学的議論の妨害といった大きな問題も提起されている。それは、政権にさえもすりより、官僚制の弊害をも加味して、事の重大性を強調する。それは、地球全体を舞台に縦横無尽に展開するスケールの大きさにも現れる。
ミステリーとしての素晴らしさと、大きな問題提起、そして夫婦の愛情と感じるところの多い作品だった。
5.0 ル・カレに脱帽
アカデミー賞授賞式で見たレイチェル・ワイズの知的な美しさと
アフリカが舞台の大作という映画の宣伝に惹かれ原作の本書を
手にしたが、これほど重い内容とは予想すらしなかった。

若く美しいテッサを妻にした穏やかな外交官のジャスティン。
自分の職務と私生活以外にはさしたる興味のなかった彼が、
アフリカとある多国籍企業の関係を調査中に殺害されたテッサの足跡を
たどるうち、使命感を持つ人間に変貌していく。

数々の脅しにもめげず崇高な生き方を貫いたテッサ、企業の論理に
翻弄される医師達、自国の国益と保身に走る老獪な外務省の役人たち。
ル・カレは現代の世界がはらんだ矛盾のある側面を緻密に描き出す。
本作発表時に70才であった彼の創作力と意欲には驚嘆を禁じえない。

苦い結末を首肯しがたく感じる読者もいると思うが、
アフリカと欧米の関係や発展途上国への援助などに
興味のある人には一度目を通してもらいたいと思った。
4.0 評価は難しいが・・・
どうしようもなく苦い結末。結末とも言えないほどあっけなく圧殺される人々。
正直言えば私も多分多くの読者のように,もうすこし「読後感のよい結末」を期待していた。勿論ル・カレがイアン・フレミングでもなくブライアン・フリーマントルでも無いことは百も承知なんですが。
しかし勿論ル・カレにしても,もうちょっと読者を喜ばせる結末はいくらでもかけたのでしょうね。私には彼が書いたあとがきの「現実の製薬業界のことを知れば,この物語すらおとぎ話でしかない」という言葉に彼がどのような思いを込めたのか,非常に気になりました。業界の内実を知れば知るほど彼は,小説の中であっても,超人的な主人公が悪を粉砕したり,せめて一矢でも報いるような夢物語を書けなくなったのでしょうか。あー,人生ってなんなんだろう?
2.0 ル・カレらしくない作品
 深みの無い本作品を読み終えるのに大変苦労を要した。特に後半部は文章が軽く質も低い。長年ル・カレを読んできてこんなことは初めてだ。原作が悪いのか、翻訳がプアーなのか、それとも両方なのか?まるで、駅弁作家の凡作のようだ。
 『パナマの仕立て屋』、『シングル&シングル』と来て、今、未翻訳の『Absolute Friends』を原書で読んでいるが、これが同一人物が書いた作品とは到底思えない。
 凡百の作家とは一線を画すル・カレによる最初の駄作となるのだろうか。ファンの人は要注意です。もちろん、ル・カレに対する私の評価基準は、『ダ・ビンチ・コード』等一般のミステリー作品とは全く異なることを断っておきますが。
 同じ英国作家のレン・デイトンの作品の質がある時期を境にがた落ちになった例がある。が、他のすべての最近作を読む限りル・カレの洞察力と筆致はまだまだ健在だと思う。

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