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めぐりあう時間たち―三人のダロウェイ夫人

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めぐりあう時間たち―三人のダロウェイ夫人の解説

   ピューリッツァー賞受賞作品が、メリル・ストリープ、ジュリアン・ムーア、ニコール・キッドマン出演、スティーブン・ダルドリー監督、デヴィッド・ヘア脚本で映画化された。

 『The Hours』は、3人の女性の物語。1923年、ロンドン郊外で夫と療養中のヴァージニア・ウルフは、『ダロウェイ夫人』の執筆を始めていた。1949年、ロサンゼルス郊外で、完璧な家庭に息が詰まりそうになっていた主婦ローラ・ブラウンが、『ダロウェイ夫人』に衝撃を受け、人生を変えたいと思い始めていた。そして、現代のニューヨークでは、クラリッサ・ヴォーンが、エイズに犯された詩人の恋人のためにパーティを開こうとしていた…。

   物語の終焉で、この3つの物語は見事に絡み合い、ひとつになる。その繊細で美しいエンディングは、いつまでも心に残るだろう。

めぐりあう時間たち―三人のダロウェイ夫人の商品レビュー

4.0 ヴァージニア・ウルフを読んでから
 ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』を読んでいてよかった。そうでないと、この作品は意味不明だろう。ウルフを呼んだのはほぼ1年前だったので、すでに細かいところは忘れてしまっていた。本書読了後、訳者によるあとがきを読んで(通常あとがきを先に読んでしまう私には珍しいことだが)、そういえばそんなところもあったな、と共通点について思い出したりしたのであった。
 ウルフのスタイルを完璧に模倣しながらも、時代の流れを感じさせる作品である。3人の女たちそれぞれの1日を、意識の流れに沿って描いていくわけであるが、ミセス・ウルフとミセス・ブラウンの重なり合いは読んでいるうちに次第にわかってくる仕組みであるが、ミセス・ダロウェイとの重なり合いがこういう形で行われることは予想外だった。
 映画化されたのは見ていなかったので、調べてみたら、ミセス・ダロウェイの役を演じたのがメリル・ストリープだったのには、笑ってしまった(なぜかは読めばわかります)。
4.0 「死」に見せられることと「生きる」こと
時代も住む場所も違う3人の女性を通じて、「生きる」とはどういうことなのかを考えさせてくれます。

精神の異常を来さないかと不安に恐れ戦きながら、著作をし続けようとするウルフ。
かつての恋人の精神の異常にも何とか支えになって、自らの責任を果たそうとするクラリッサ。
日常生活の責任に押しつぶされそうになるローラ。

ウルフがクラリッサの本を書き、それをローラが読んでいると言う設定が、最後に一つに収斂してゆきます。

こうした設定の面白さもあるのですが、この本自体が、ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」に「寄生」した作品だと言うことですが、そのあたりは原文で読み比べるほどの力が無く、どのような工夫がなされているか解らず、この本の魅力の半分も理解出来ていないと思われ残念です。
5.0 とても文学的で傑作
この本は映画を観る前に読んだ。

登場人物たちの中で一番感情移入したのがローラだ。彼女は自分の感情を殺さずに生きることを選んで家を飛び出してしまう。私もそうだが、日々人々は自分の感情をどこかで飼い殺しながら生きているのだと思う。

ローラとは反対に、ヴァージニアは自分の感情を押し通すことが出来ずにその感情に押しつぶされて自殺してしまう。

いろいろな要素が絡み合った女性たちのある一日を描いた作品。文章が流暢に流れ、まれに見る傑作だと感じた。この本と映画を見れたことを感謝したい位だ。
この作品は私の心の中に一生残ると思う。

映画も原作も一般受けしないのは重々承知だが、共感する人は物凄く好きになると思う。
お薦めです。
5.0 水の流れ、時間の流れ、命の流れ
人にとって時間は一直線上に進んでいるのではなく、まるで流れのように思い出が押し寄せる。
ヴァージニア・ウルフの無意識の時間の流れをそのまま、でも作者独自の世界観をあわせて現代のNYによみがえらせた。

時間の流れに加えて、命、ということに執着しているようだ。声高に命の尊さを叫ぶのではないけど、あまりにも生を真正面から受け止めた故、生のもつ残酷さに耐えられなくなって行く人々と、時に傲慢なまでに生を選ぶ人々の対比させている。それは『ダロウェイ夫人』の構造を踏襲したものだと思うが、原作より、それはビビッドにうつる。
ふと頭に浮かんだのが、複数の人間で共有するひとつの命の流れだった。傲慢な命がか弱く消え入りそうな命を自分の中に取り込む。
リチャードはクラリッサの為に生き、彼女の目の前でで自殺した。
その後クラリッサは自分の中にはいってきたリチャードの人生も歩むのだろう。

冒頭、ヴァージニア・ウルフが川で入水自殺を図る場面は、時間、命、水の流れがリンクする。死を目前に想い出があふれ出し、死を目前に命の思い出が瞬間的に押し寄せるその時、体は逆らいのようのない水の流れと一体になる。

今ここに生きていることが不思議に思えた。
作者のマイケル・カニンガムはアメリカ小説界の実力派という。人の無意識に入りこんだ縦横無尽な想像力で、複数人の一生をたった1日で描ききっている。すごいな、と思った。
3.0 感情を抑えた朗読
朗読をされている女性の声が、ささやくような、というか少しふるえるような感じの声で、ちょっと聞きづらかったです。
全体的に感情を抑えた朗読になっているように思いました。
3人の登場人物の切り替わりについては、特に違和感なく聞けました。

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