考えるヒント、、になる1冊です。
アトムが生まれる「未来」であるはずであった2003年春。
しかし「20世紀の遺物」であるはずの国家間の戦争がTVでは映されている矛盾。
「何故か?」。そんな疑問に対する「答え」が欲しくてこの本を手にした。世界に満ちている圧倒的な非対称。
それを打ち破るべく起きる「狂牛病」と「テロ」。
中沢氏は世界が「健全なエコノミー」を取り戻すべきであると説いている。
私にとっては自分自身で物事を考えるヒントを与えてくれる黄金の1冊でした。
目からウロコのイスラーム論
イスラーム理解へ大きく眼を開かせてくれる一冊である。「現代の資本主義経済へのアンチテーゼとしてのイスラーム経済」を宗教論、文化論として本質的解題を試みている。「利子」=「自己増殖」価値による「象徴と現実」の「一致」「非一致」をキーワードに、イスラームのもつ高純度な思想があぶり出されている。イスラームではコーランが「利子」取りを否定している。ユダヤ教では「相手が異教徒なら是」、キリスト教では中世以降の貨幣経済の進展をみて「高利でなければ是」とするスコラ哲学~古典派経済~資本主義の下地を提供した結果、「ユダヤ・キリスト教」は、資本主義に原動力を与えた宗教であると示唆されている。
資本主義でも共産主義でもないイスラーム社会では、物と物の厳正な等価性を持しながら行う商業活動は奨励されるが(スークでは相対取引が基本)、自己増殖的な商業や利子取り活動は否定されている。商品の厳密な交換価値を維持するには、その入り口で交換価値を狂わせる魔術、聖霊、偶像などの、いわば「他の神」の存在を許さないというのがコーランの、「神をおいてほかに神なし」のイスラームの根本教理である。「象徴と現実の一致」を狂わせる=自己増殖する=あらゆるものの存在を認めないということが、イスラームの唯一神信仰のベースにあり、偶像崇拝やあらゆる記号的象徴を認めない。そのために、現代の「欲望肥大の記号化社会」=「資本主義社会」に対するアンチテーゼともなっている。P>イスラームの現代性を、経済問題を中心に追求していくと様々な議論の余地があるように思われる。「原理としてのイスラームは、巨大な一冊の生きた『緑の資本論』である。資本主義にとっての『他者』は、この地球上にたしかに実在する。イスラームはわれわれの世界にとって、なくてはならない鏡なのだ」と、著者中沢新一は結んでいるのであるが・・・。