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蛇にピアス

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蛇にピアスの解説

   ピアッシングや刺青などの身体改造を題材に、現代の若者の心に潜む不気味な影と深い悲しみを、大胆な筆致で捉えた問題作である。埋め込んだピアスのサイズを大きくしていきながら、徐々に舌を裂いていくスプリットタン、背中一面に施される刺青、SM的なセックスシーン。迫力に満ちた描写の一方で、それを他人ごとのように冷めた視線で眺めている主人公の姿が印象的だ。第130回芥川賞受賞作品。

   顔面にピアスを刺し、龍の刺青を入れたパンク男、アマと知り合った19歳のルイ。アマの二股の舌に興味を抱いたルイは、シバという男の店で、躊躇(ちゅうちょ)なく自分の舌にもピアスを入れる。それを期に、何かに押されるかのように身体改造へとのめり込み、シバとも関係を持つルイ。たが、過去にアマが殴り倒したチンピラの死亡記事を見つけたことで、ルイは言いようのない不安に襲われはじめる。

   本書を読み進めるのは、ある意味、苦痛を伴う行為だ。身体改造という自虐的な行動を通じて、肉体の痛み、ひいては精神の痛みを喚起させる筆力に、読み手は圧倒されるに違いない。自らの血を流すことを忌避し、それゆえに他者の痛みに対する想像力を欠落しつつある現代社会において、本書の果たす文学的役割は、特筆に価するものといえよう。弱冠20歳での芥川賞受賞、若者の過激な生態や風俗といった派手な要素に目を奪われがちではあるが、「未来にも、刺青にも、スプリットタンにも、意味なんてない」と言い切るルイの言葉から垣間見えるのは、真正面から文学と向き合おうとする真摯なまでの著者の姿である。(中島正敏)

蛇にピアスの商品レビュー

5.0 この作品に意味などない。
文学は嗜好品だ。だから人によって好みがある。
だからこの作品が賛否両論なのも仕方ないことだろう。
しかし星一つの方のレビューは、あまりにも的外れな気がしたので敢えてその批判と感想を書かせてもらう。

テーマや意味がどうだという人がいるが、テーマは本当に必要なのだろうか?
意味を見出すのは読者側の仕事のはず。筆者はその手伝いをするだけに過ぎないのでは?
そもそも意味のある作品というものは「はいはい。要するにこう言いたいんだよね」と読者を退屈させることはないだろうか。
金原ひとみが書きたいのは、そんな型にハマったチンケな文章ではないんじゃないかと私は思う。
彼女が書きたいのはロマンティッックなストーリーでもなく、大衆小説でもなく、押し付けがましい意味のある小説でもない。
彼女が書きたかったのは人間味のある人物と、人間味のあるちょっとしたドラマだ。
彼女はルイという人物を書かずにはいられなかったし、シバさんやアマを書かずにはいられなかったんじゃないだろうか。私はそのように感じている。

確かに稚拙さや、情報収集不足などの点はあるかもしれないが、
彼女からは決定的な才能が感じられる。それはルイもアマもシバさんも生きている、ということだ。
私が言いたいのは生きた人物像を作れる作家だから金原は評価されたということだ。
彼女の小説はどこか生々しく嫌悪感を感じる方は多いと思うが、人間ってそれほど綺麗な生き物じゃないだろう。少女漫画のような恋愛物が苦手な私は特にそう思う。歯の浮くような台詞を惜し気もなく使ってしまっていいものかと疑問に思う。「そんな台詞言う人なんかいないよ」と。 その時点でそのキャラクターは死んでいる。なのに、ルイは確かに存在する人間だった。

暴力や性描写があるから……と斜めから読むのもやめたほうがいい。
これはかつて携帯小説旋風を巻き起こした超大作とは全くの別物だ。
彼女の小説の人物はどこかに生きていてもおかしくない。ルイ達は個性的過ぎて感情移入し辛いけれど、ルイ達は人間の誰しもが持っているダークサイドな部分を普通の人より濃く持っているだけなのだ。だから誰でもルイ達になる可能性はあるということ。
純粋さのない作品だと言う方もいたが、生きることに絶望しているかのようなルイは、それでもいつも闘っていた。そこに私は純粋さを見出した。
純粋とは混じりけのないことだ。万人に混ざりきれないルイや金原ひとみはそこらの人よりよっぽど純粋に自分と向き合い、闘っているように私は思う。
だからこそ鈍くて鋭い読後感が胸を刺し、読者を呆けさせる。
「何が言いたかったんだろう。でもこの胸の痛みはなんだ」と。
だから正直全く意味は感じられなかった。
でも私は、「耳に10個ほど空いているピアスを、はずしても大丈夫かもしれない」と思った。
そのピアスは私を強くしてくれたものだ。でももういらないと思った。
結局受け取り方は人それぞれなんだ。
それだけのことだ。だからやっぱり意味はないんだろうけれど、意味がないということだけでこの小説の評価を下げないで欲しい。
ピアスや入れ墨じゃないにしても、誰しもファッションや肩書で自分を武装しているはずだ。
金原ひとみの書いた人間は、刺青とスプリットタンで武装したかったんだろう。

私はリアリティのある人物像を描いた金原ひとみを評価する。
4.0 文筆家であれば必ず嫉妬する作品
食わず嫌いで読んでいませんでしたが
思い切ってトライしてみました。
結果は大正解です。

ショッキングな題材をモチーフにしているため
読むのが苦痛ではありますが
内容自体は芥川賞を取って当然だと感じました。

特にプロットが秀逸だと思います。
主人公や登場人物の心情をうまく引き出しているからです。
むしろ、そのために必要な舞台装置が
スプリットタンとのコラボレーションだという
気さえします。

なかでも
最後の描写が秀逸です。
主人公が恋人が殺されて憔悴している。
日に日に痩せて拒食症に陥る。
精神的には死んでいる状態。
ところが、犯人が判明する事で一転します。
心理的に死んでいた主人公が、
ひといきに生き生きと動き出します。
この描写はすばらしい。

全ての文筆家が
「自分が書きたかった」と嫉妬せずにはいられないほどの
才能の片鱗をこの作者は爆発的に放射しています。

次回作以降を読んでみたくなりました。

他の作品への期待も込めて星4つです。
5.0 何度も読み返すべき。
第130回芥川賞受賞作であり、第27回すばる文学賞受賞作の本作品。
レビューでの評判がすごぶる悪いのに驚いた。
私は受賞作だということは何年も前から知っていたが、それだけの理由では読む気がなかった。
ネットであらすじを読むにつれ、興味が湧いたのだ。
描写が過激だ、それにつられている、内容がない、という評価が多いが、私にとってはどちらかというとほんのわずか先にある現実である。もちろん、自分はスプリットタンもしていないし、ボディピアスもない。SM趣味もなければ、タトゥーだって興味がない。

 しかし、身近にいる人々の深いところまで、私達は知っているだろうか?知っているつもりなだけではないのだろうか。一番の関心事は自分。セックスだってするし、恋人だっている。しかし、未来がつかめず、不安だらけで生きている現実味がない、そんな言葉をどこか人は人知れず自分の心の中に持っているのではないだろうか。

この作品は読み終えるとなんとも完結なのかとあっけにとられる終わり方でしめられている。
それが、評価の悪さになっている気がする。私もちょっと驚いた。
しかし、何度か読み返して欲しい。こんな作品のどこが、と酷評を書いた、あなたも。
気になるポイントポイントを読み返すといいと思う。ちゃんと伏線が貼ってあるのだ。
夏休みに読書感想文を書け、と渡される昔からある名作にはわかりやすい伏線があるものだが、
この作品はかなりそれがわかりにくくて難しい。私もきっと、いくつも置かれている伏線を読み落としている。そこが少し難点といえば難点であるが、この作品を作者がわずか19歳のときに書いたと思えば驚きに値する。しっかりとした文章力で惹きつけるものを感じる。その謎解きのような隠れた伏線をさがしあてる醍醐味を見つけてはどうかと思う。

2.0 うまい表現だな
前のレビュアーの方が「出来のいい携帯小説」と非常にうまい表現をしている。

私も読んだあとまったく同じような感想を抱きました。

十年ほど前はタトゥー雑誌を必ず立ち読みするほど、サブカル系中二病に罹患していた自分としてもなんともいえないモノを感じました。
私自身は入れてませんが・・・そういったものに対する憧れというか、そういうものは確かにありました。

青春ドロップアウト組はそういった方面に興味が収斂していくのかな。

この本も少し時代を遅れていれば携帯小説のようにスイーツ(笑)と嘲笑の対象になっていたかもしれませんね。

受賞により普段本を手に取らない当時の女子高生などが、本を読むきっかけにはなったのでは。
あ・・・それじゃ今の携帯小説と同じじゃないか。
1.0 うーん・・
なんだか出来のいい携帯小説みたい。


いったい何を表現したかったのか。
痛み痛みというが、どっちかというと若い痛々しさに失笑。
肉体改造なんて専門雑誌だって刊行されていて簡単に手に入るわけで
知ってることを全部詰め込んだ薄っぺらい内容も白ける。
人以上に過激な世界を知っていることをひけらかしたかったのか。
主人公にさえ魅力的に感じられず(致命的)
ひらひらふわふわ。

素人携帯小説の映画化、ドラマ化があたりまえの昨今なら
この小説の芥川賞受賞なんてなかったのでは。

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