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母と子を題材にし、子の目線から書いた短編集。 どの物語も後味はすっきりとしなく、ねっとりとした 重苦しい余韻がまとわりつく感じ。 でも短い文章の中にそれぞれの人生が凝縮されていて ズンとその物語の中に入り込んでしまう。 どれも30代が主人公なんだけど、30代ともなると 親は自分を保護してくれたという立場から保護しなくては ならないという立場になる。この物語の主人公たちは そこでその立場の逆転をうまく受け入れられずに 立ち止まってしまっている。どこへいったらよいのか 途方に暮れている。それゆえに、マザコンという題名が ついているのかなと思った。いつまでも母親に庇護されて いたい、でも自分は大人になってしまった、 母親を1人の女として、老いた女性として認めなくては ならない、でも受け入れたくない。そういう気持ちが 見え隠れする物語が多かった。 角田さんの作品は後味ほんわかと後味ブラックと別れるけど これは後味がブラックでほろ苦。でも読まずにはいられないし 読んで後悔もさせない。さすがです。 ただほんわかが好みなので星は4つ。
角田の近作は、なにやら鬼気迫るほどの充実ぶりである。本書もまた切れ味鋭かった。老母と、中年にさしかかった子との関係に焦点を絞った、コンセプト短編集。 一編が短い。短くて無駄がない。オチのなさが読後の不安を呼ぶ。心がざわざわする。マザー・コンプレックスなんて、程度の差はあれ、誰にでも普通にあるものだと知る。わかりやすく病的なマザコンの例はない。 「パセリと温泉」の真希子あたりが一番重い方だろうが、それにしたって社会的に逸脱しているとは思わない。だからオビに「だれもがマザコンなのかもしれない」とあるが、「だれもがマザコンなのだろう」くらいの読後感である。