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ゾラ・一撃・さようなら

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ゾラ・一撃・さようならの商品レビュー

4.0 酒脱なハードボイルド
矢作俊彦風の軽妙な台詞が主体の、
酒脱なハードボイルド。
しかしもちろんこちらの方がより
綺麗で、まとまっていて、腑に落ちる展開。

ただそのまとまりの裏返しとして
定型の殻を破るデモーニッシュな力が無い、
というのが読後の物足りなさの所以だろう。

良い意味でも悪い意味でも技巧的な小説なのだ。
3.0 楽しめるが・・・
とても軽く読める本でした。

まあまあ楽しめるが、森博嗣の真髄からはちょっと程遠い感じがします。

相変わらず登場人物の会話はとてもオシャレで楽しませてくれましたが、
知的な会話は無いし、キャラクターの面白みにも既刊の佳作に比べると欠けます。

ハードカバーで売り出すところに不満も残りました。

まあ、普通です。
5.0 繋がる世界
 内容としては、ソフトなハードボイルド小説と軽めの恋愛小説、簡単なミステリ小説を合わせたような感じ。それでも、決して物足りないわけではなく、心地のよいリズムでスラスラ読める物語でした。
 一番の注目ポイントは、「天使の演習」というアイテムと「簑沢素生」という人物。この物語が講談社ノベルスで続くシリーズと同一世界の物語であると気が付く人もいるのではないでしょうか。特に「簑沢素生」からは、時間軸を推測できるので、そのあたりから想像を膨らませてみるのも面白いかもしれません。
4.0 佳作という評価
 森博嗣さんの最新作のアップを致します。森博嗣さんといえば、西之園萌絵も登場ののギリシア文字のシリーズ、Xシリーズと二つのシリーズが並行していたり、「スカイ・クロラ」が押井守監督のもと映画化されるなど何かと話題ですが、今回は単独のハードボイルドものという事でアマゾンお取り寄せで読みました。
 主人公は、頸城悦夫。私立探偵。
 変則なしで今回はストレートに私立探偵が主人公です。
 その彼が、志木真智子という女性から依頼を受けるところから物語は始まります。彼女の依頼とは、彼女の母である貴子が昔に法輪精治郎元都知事に渡したある品を取り返して欲しいというもの。芸能界から政治の世界に入り知事になった法輪氏、彼に若き日の母が預けたのは「天使の演習 エンジェル・マヌーバ」という美術品だというのです。もちろん、元とはいえ都知事で政治の世界にも各界にも顔がきく人物で、接触からして難しい人物なのですが、依頼を受けた頸城は彼の甥との付き合いがあるということを突破口に法輪氏に近づきます。
 一方、この法輪氏に対しては、ゾラという殺し屋が命を彼の命を狙っているという噂も出始めています。ゾラはヨーロッパでは有名な殺し屋で、予告して殺人をすること、特殊な銃で必ず相手を殺す事で知られています。そのゾラが彼と吉田護元総理の命を狙っているというのです。
 そういう状況下のもとで、主人公の頸城は法輪精治郎に近づいていきます。果たして彼は天使の演習を無事に取り戻すことができるのか、果たしてゾラは本当に現れ法輪氏は狂弾に倒れるのか。また、頸城と志木真智子のロマンスはどうなるのか。
 そのあたりが読みどころになっていますが、一読、ネタはあっさりと割れてしまいます。どうしてそこまで割れてしまうのかが不思議なくらいなんですが、森博嗣氏の叙述トリックのパターンが浸透しつくしてしまったのか、筆力そのものは落ちていないと感じられるものの、トリック、ミステリの読みどころの一つである謎ときの部分はあまりにも弱すぎるという感じがします。このあたりは森博嗣ファンでも「封印再度」や「すべてがFになる」や「女王の百年密室」などと比べれば頷かざるを得ないところだと思います。
 またハードボイルドというと思い浮かべる「フィリップ・マーロウ」や「サム・スペイド」、「マット・スカダー」などと比べるとちょっと主人公が精神的に弱い感じがします。たぶん、これは言葉の定義の問題になるのかも知れませんが、ハードボイルドでは主人公が自分の心情を吐露しない、行動によって心情を語るものだという基本スタンスから外れているからくる感覚かも知れません。
 ただ、そのあたりの違和感を感じつつも、作品としては僕はこの作品が好きです。
 適度におしゃれで適度にハードボイルドで、適度にトリックの要素があって、また昔からの森ファンのためのお遊び要素も盛り込んで(例えば、キーワードとしてのヒロインの名前をシキにしていたり、エンジェル・マヌーバがでてきたり)いて、大作ではないけれど佳作としては十分に楽しめる作品になっているからです。ハードボイルドとして読むとちょっと軽すぎると感じるだろうし、ミステリとして読むと雰囲気重視のトリックの薄さにあっけなく感じるだろうし、ロマンスとして読むなら一本調子で変化のない道筋に盛り上がらないでしょう。リアリズムにかける、台本的なところでつまっている書き込みの足りなさという欠点があります。けれど、全体としてどうかと見れば、いい感じの佳作にしあがっていると思います。ある意味、職人芸的な仕上がりになっているかと思います。
 個人的には、もっとどれかに徹底的に比重を置いた作品を読んでみたいのですが、単独作品としてはまずまずの佳作であるとしてよいと思います。
 ・・・と書きますが、たぶん反論、異論どんどんあるでしょうねぇ。どしどし書き込みOKです。
4.0 ハードボイルドの形を借りた恋愛小説と言った趣。
 「ゾラ・一撃・さようなら」、不思議なタイトルである、散文的だが、ちょっとフランス映画を思わせる雰囲気、かなりそそられる。そしてこの小説、一応ハードボイルドとして紹介されている。確かに全編主人公である私立探偵の一人称で語られるクライム・ストーリーで、己の規範、価値、善悪の基準にそって生きていると言えなくもない生き方はそれらしくもあるが、ジャンルに支配的な硬派でストイックなイメージ(暑苦しくやせ我慢的なスタイルと言い直してもいい)からは程遠い。いかにも現代的なキャラクターといった風情なのだが、その独白の軽妙洒脱な言い回し、斜に構えた文言、ウイットな切り替えしが絶妙な会話は実に上手いし可笑しい。この語り口にノレるかノレないかで作品の評価は変わってくると思う。ライトな感覚ながら、繊細で薫り高く切なさを持ち併せた恋愛小説と言った趣、ハッピーエンドとは言えないけれど余韻を残す結末、読後感は悪くない。

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