解決する方法があるのだろうか?
本書は、虐待や育児放棄を受けている児童の実態を伝え、彼ら彼女らを助け、どうしたら十分な支援の下で彼らの成長を見守ることができるのかに重点を置いている。行政や司法の至らなさばかりを指摘することに、終始していない点が好感。
著者の取材や対応する法律も記載されており、関心がある方は読んで損はしないはず。思い返してみれば、学年に数人は親からの虐待や育児放棄を受けている友人がいたように思うが、当時の彼ら彼女らが、本書に登場する子どもたちに近い境遇の下で生きていたのかと思うと、ただただ驚くばかりである。
本書に登場する子どもたちは自分自身の心身を正常に保ちたいと思う苛烈な欲求と、愛情の庇護の下で育ちたいという強烈なまでの本能に驚く。そして、彼らの満たされない思いはなかなか叶わない辛すぎる現実も描かれている。
昨今の年金問題では少子化が問題のひとつになっているにも関わらず、将来を担う子どもたちが健全に育つための環境を提供できない日本の三権はいったい何をしているのだろうか?
虐待を受けた子どもたちは、行政や司法から十分な支援を受けられないことが多く、子どもたちの自助努力に多く依っているところに、この国の寒い福祉の実態が浮き彫りになっている。そして、著者の取材の過程で、日本と海外の間における子どもを育てる支援の違いも述べている。