女装少年という安全な生き物
恋する少女にとって、少年は異性であり異物である。
少年(異性)との恋愛の前に、通過儀礼的に行われる
活発な少女---少年的な少女への憧れの対になるのが、
この少女少年である。少年なんだけど、外見は少女。外見は一緒。
考える事も少女。だから、一緒。
じぶんといっしょ。じぶんとにてる。
だから怖くない。だから安全。
少女は鏡に恋をする。
ように見えてしーっかり女装少年いちごが
女の子を守るナイトなのは、
もう少女のための女装少年モノのお約束。
自分に理解可能で怖くなくて安全で、
できたら綺麗でかわいい「少年」が
自分を守ってくれるというのは、
いつまでたっても少女の夢なのです。
---ということをしっかり再認識した作品でした。
なんだけど、いちごの発するあぶないオーラは
おにいさんもきゅんきゅんさせちゃいそう(笑)
小さなお友達にはちょうどいいのかな?
杏(あんず)の幼なじみの男の子・一期(いちご)が、なんと美少女になって帰ってきた! というところから始まるコメディ。学年誌連載の『少女少年』シリーズでは「フツーの男の子」(初巻より)が女の子アイドルとしてデビューして周囲に振り回され、時に周囲を振り回す、という話が続いていた。しかし、いちごは「フツーの男の子」と呼ぶにはあまりにお騒がせで、それでいて根っこは非常に紳士で、今までのシリーズ(や、よく似た来歴を持つ吉住渉『ミントな僕ら』)とは趣を大きく異にする。むしろ1980年代少年漫画の女装物に近い構成だ。
やぶうち先生の連載ということで雑誌連載時からチェックしてはいたが、今までのシリーズで主人公の男の子たちに共感してきたせいか、単行本でまとめて読み返してみると、いちごの小悪魔的かつ紳士的な性格(ナンジャソリャ)には、個人的にはどうしてもなじめなかった。でも、この作品のメインターゲットである小さな女の子たちには、このくらいでちょうどいいのかもしれない。
ドタバタ劇が多い中、第3話『恋する幽霊少女』だけは割と切ない話。惜しむらくはこの話の初出が8月ではなく7月だったことか。(ネタバレにつき詳細割愛)