竜馬入門者へ捧ぐ
坂本竜馬の名声は知っていても、具体的にどんな偉業をなした人物か知りたいと思った読者にはまず本書を読むことをお奨めしたい。レビュアーの坂本竜馬観は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」に記したのでそちらをぜひ参照されたい。本レビューは全巻を総括して総括レビューしたい。
「おーい竜馬」はたぶんに司馬遼太郎さんの作品と比べると史実としては脚色された読み物的なところ(登場人物の交流関係や竜馬の渡航体験等々)があるが、その分ポイントも絞られていて読みやすい。また小山ゆうさん一流の虐げられる人々の描写のうまさと「あずみ」に見られるような剣術シーンや端正な画風は見応えがある。
レビュアーが一番好きなシーンはいよいよ薩摩と長州の不倶戴天の仲を調停の目前。互いの思いを代弁して奔走するが抵抗勢力の煮え切らなさで後戻りするのに憤慨するシーン。縁側の戸を勢いよくあけ、屋根の雪がドサッと落ちる。雪の夜である。余韻の静寂さが聞こえてくる。本書の読後に司馬さんの本を読むことをお奨めしたい。
竜馬をビジュアル化した名作コミック
坂本竜馬の名声は知っていても、具体的にどんな偉業をなした人物か知りたいと思った読者にはまず本書を読むことをお奨めしたい。レビュアーの坂本竜馬観は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」に記したのでそちらをぜひ参照されたい。本レビューは全巻を総括して総括レビューしたい。
「おーい竜馬」はたぶんに司馬遼太郎さんの作品と比べると史実としては脚色された読み物的なところ(登場人物の交流関係や竜馬の渡航体験等々)があるが、その分ポイントも絞られていて読みやすい。また小山ゆうさん一流の虐げられる描写のうまさと「あずみ」に見られるような剣術シーンや端正な画風は見応えがある。
レビュアーが一番好きなシーンは薩摩と長州の不倶戴天の仲を調停に奮戦する中での抵抗勢力の煮え切らなさに憤慨するシーン。縁側の戸を勢いよくあけ、屋根の雪がドサッと落ちる。雪の夜である。余韻の静寂さが聞こえてくるようだ。本書の読後に司馬さんの本を読むことをお奨めしたい。
アニメ映画になったらぜひ見にいきたい。
久しぶりに漫画で泣きました
今回全巻読み通してみて、気がついた事がある。この作品は前半と後半に分かれているということだ。土佐藩で屈辱的な差別を強いられる郷士と生まれた3人、坂本竜馬と武市半平太、そして岡田以蔵。彼らを幼少からじっくりと描く。前半でこれでもかというほど3人を巡るオリジナルな挿話を重ねていく。特に武市の性格描写は秀逸である。差別からの脱却を土佐僅王党やテロリズムに見出した武市と岡田の最期までを描いたのが前半。それに対して、坂本竜馬はその頃から歴史の舞台に踊りだす。二人を殺した敵を人に求めず、制度に求め、抜群の行動力でそれを実現して行く後半は、痛快である。そしてそれは最後まで武市と岡田に対する坂本なりの弔い合戦であったのだ、と読者にきちんと分からせるように描いている。このあたりがこの作品のオリジナルなところであろう。つまり竜馬は差別のない日本をつくることが武市や岡田を殺した藩主や上士に対する最大の敵討ちであることを行動でもって示したのである。そして竜馬の死ぬ場面に向けてひとつ一つエピソードを重ねていき、生き残ったものたちの行く末も織り込みながら、竜馬がなにをなして何をし残したかを描く最終巻は、涙なくしては読み終えることは出来ない。ところで武田鉄也と小山ゆうは本当に幕末をよく研究していると思った。「船中八策」など、船の中で思い付いたなどの俗論はきれいに捨てているし、歴史的に明らかになっていることは歴史にそって、それ以外のところはそれしか在りえないように描き竜馬の一見破天慌な行動を説得力ある物語にしている。小山ゆうは、竜馬はもとより脇役達の顔を資料に沿いながらも実に生きいきと描き、成功している。