つげ越え!!!
パッと見で第一印象の大半は決まるという。例えばこの本がとある男子大学生でどっかの女子大生と合コンしたら、よっぽどの不細工好きじゃないと相手にもしないだろう。
そんくらい絵はキタナイ、デザインはバランス崩れててとっつきにくいマンガであるのだ。
が、である。このいましろ本を、有名作家の書評を読まずにぱっと見だけで買おうと思った奴は多分、今後の人生で大金持ちにはならないと思うがいわゆるみんなの人気者的存在から愛され続けるであろう事を予言します。
ブキな男の、まんまの姿とおかしさをこれほど見事に貧乏くさくいとおしく浮き出している物語は1990年代からでは無い。
つげ義春を超えてるかも。人間、特にオトコが知りたい人は必読です。
とはいってもホモマンガではないのであしからず。
ジャスティスに生きる
社会の中でそれなりの権益を得つつ、それなりに生きていこうと思えば人間誰でも、どこかで自分を殺し、世間一般に通用する自分を演じ、仕立て上げなくてはならない。
この本には少しだけ不器用で、それができずにいる人物達が多く描かれている。やはり社会的な権益は与えられないが、そこにあるものは紛れもない「ジャスティス」である。いつのまにか社会にとりこまれた私が、彼らの生き様を笑った後に残るものは、心地良くも切ない望郷にも似た感である。
それが、何かを訴えるわけでもなく淡々と、しかもキャグとして流れて行く。このような良作に出会える機会はそうあるものではない。
デフレの中、ますます自分を偽らなければならなくなった企業戦士、また、自分の舵先を見出せずに今はフリーターとして貴重な青春時代を浪費することに甘んじている未来の日本の担い手である若者達にぜひ手にとって欲しい。