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気まぐれコンセプト クロニクル

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気まぐれコンセプト クロニクルの商品レビュー

5.0 面白く、切なく感じる一冊

 ページ数970強。英和中辞典程度のサイズと重量をもった本書は、1984年から週刊「ビッグコミックスピリッツ」誌上で連載を続けている4コママンガの集大成です。いやぁ、読み応えありました。

 正直言って「スピリッツ」ってこの「気まぐれコンセプト」以外は読みたいと思うマンガ作品がひとつもないのです。ですからお金を払って購入した経験は皆無で、中華料理店などに置かれているのを手にする程度。実際この四半世紀もの間、スピリッツ誌上で生き残り続けているのは「気まぐれコンセプト」だけとか。それだけの力をもった作品だということですね。

 経済界の疾風怒濤の四半世紀をはすに構えて切り取り続けてきたこのマンガを今こうして改めて振り返ると、「海賊チャンネル」にザウスやモツ鍋、懐かしいなぁという気持ちと同時に、自分も時代の荒波の中で無自覚にあっちこっち振り回されてきたのかもしれないということを反省を込めて思い返します。

 さらに10年後20年後にもう一度本書を手にしたとき、何を感じるのか、それが楽しみでもあり、怖い気もします。
5.0 65〜70年生のサラリーマン必読!
「気まコン」…
今は昔、15年位前の学生時代にスピリッツを購読してた身としては懐かしい響きですが、まだ続いてたんですねぇ。
本書は、約20年間の連載からチョイスされた4コマを年代別に並べたもので、「バブル期からその崩壊、インターネット時代に至るまでサラリーマンの生態」とも言える企画本です。
映画「バブルでGO!」のコラボであることはご愛嬌。シロクマ広告社のヒライ世代の私にはただただ懐かしく、また、この20年がサラリーマンを取り巻く環境が大きく変わったと感慨深く感じました。その一方で、携帯が普及しようがネットが広がろうが柔軟にそれらを使いこなし、かつ、それ(というかその時代時代のはやりもの)を武器にひたすら女をコマそうとするギョーカイ人の生態が、かえって日本のサラリーマンの強さ(?)やしたたかさを表しているようで…結構、明るくなれます(楽しく働くことは大切なことです)。
バブル前後の浮き沈みを経験した65〜70年生まれくらいの人が一番楽しめると思います(たぶん、この本と「バブルでGO!」もこのあたりがターゲットでしょう)。一方で、最近の若い人たち(20代)はこの本を(昔のサラリーマンを)どのように読む(見る)のでしょうか?という興味もそそられる一冊です。
4.0 読みきるにはチカラがいるぞ
あまりの厚さに読みきれず検査入院時にまで持ち込んで読んでベッドの上に置いていたら、回ってきたナースが見て「すごいですね、辞書読まれるんですか?」といわれた(本当)。
巻末の広告業界専門用語辞典の【コピー】欄に載ってる例文を参照すれば「4コママンガの金字塔」「現代風俗の生き証人」「20年間単行本になっていなかった日本有数の長期連載」といえるか。しかし広告業界というと都会的で流行に敏感なスマートな職業や仕事を連想するだろうが、これだけまとめて見ると下ネタの多いこと。下ネタは時代に左右されないということの証明になるか。
4.0 自らの若かりし日と重ね合わせてみて
私と「気まぐれコンセプト」の出会いは、今を遡る19年前。
大学3年生のときに、広告代理店志望の友人に単行本を借りたのがきっかけだ。
〜ちなみにその第1巻の単行本は、Amazonマーケットプレイスで、
 プレミアつきの6,000円前後で売られている〜
以来、(作者には申し訳ないが)ずっと連載されているビックコミックスピリッツの
立ち読みで追いかけてきた。
言い訳をするならば、スピリッツの中で読みたいマンガが
この気まぐれコンセプトだけなので雑誌を購入するのも躊躇するし、
単行本が買いたくても、ずっと発売してくれないのだ。

希望通り広告代理店に勤務した友人とは違い、
大学卒業後は愛知の片田舎の周りを田んぼに囲まれた工場での勤務が続いた私にとっては、
このマンガこそが「世間の流行に後れないための最小限の情報」だった。
流行を扱っているとは言っても、必死になって流行を追う所謂「ギョーカイ人」達を、
少し斜めの視線で見て笑いをとっているところも好感が持てる。

この「クロニクル」は、1984年から2006年までの年代順に、
その時々の流行が映し出されたトピックを厳選しているので、
過去を「歴史的に」振り返って読むことが出来る。
私の年代(40代前半)にとっては、自らの若かりし日と重ね合わせることも出来る。
さらにその時代のオリジナルマンガだけでなく、
2007年の時点で振り返って追記された「脚注」も非常に興味深い。
愛蔵版としての価値も十分ありだ。

ただし、ドギツイ下ネタの話題も多いので、
その手のジョークを笑えない人など、ある程度読者は限られてしまうのだろうか。
4.0 つはものどもが夢の跡・・・
 雑誌「ブリオ」を読むような新人類世代には特に懐かしい、「気まぐれコンセプト」23年間の集大成。で、なぜ今23年という中途半端な時期に出すかというと、映画「バブルヘGo!!」の宣伝だから。(この映画のアイディアが何年か前の「気まぐれコンセプト」に掲載されている)

 ホイチョイ、という妙な名前だが、ホイチョイ・プロダクションのメンバーは元々、東京・吉祥寺の北にある「成蹊学園」の小学校からの同級生で、子どもの頃「ホイチョイ帝国」という架空の国を創って遊んでいたから、らしい。今は安倍首相の出身校として知られている同校は、戦前三菱財閥の子弟を学ばせるために創設されたお坊ちゃん校。イメージだが、一般人が普通に偏差値基準で受験する慶応・立教・学習院・青学よりもお坊ちゃま純度が高そう(成城学園や玉川学園と並んで)である。

 馬場康夫監督も日立製作所創業者の一人で副社長だったお祖父様を持ち、お父様は東大工学部卒で日立の幹部、自身は日立宣伝部勤務のサラリーマン経験がある(やはり安倍首相っぽい)。この時電通のクリエイター(本書に登場するヒライのモデル。顔がそっくりらしい)から遊びの薫陶を受けたのがこの「気まぐれコンセプト」の元となったらしい。

 そのせいか、なんとなく東京人特有の「衒(てら)い」や「皮肉っぽさ」が漂う不思議な漫画である。広告業界人と一緒に遊びながら、完全には一緒にならず、「田舎モノ」の遊びにかけるパワーには驚嘆しながらどこか小馬鹿にするという…

 ここから派生した「見栄講座」という本があった。バブル前夜、サーフィンやスキー、テニスが流行った当時、いかにして通に見えるかを指南した実はパロディ本である。恐らくこれも東京に進出してくる田舎モノパワーを馬鹿にしたものだろう。

 いずれにせよ、これだけのヴォリュームで東京の風俗(流行という意味で)をまとめたものは漫画以外でも少ないのではないか。電車の中では重過ぎて読めないので買って家でのんびり読む事をお勧めする。一連のホイチョイ・ムービーを見直すともっと気分が盛り上がるかもしれない。

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