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のぼうの城

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のぼうの城の商品レビュー

5.0 歴史小説の枠を超えた痛快ヒーロー小説。
時は天正18年(1590年)。天下統一を目指す秀吉の、関東を牛耳る北条氏征伐の年。主人公は北条家の支城、武州・忍(おし)城の城主、領民から「のぼう様」と呼ばれている成田長親。忍城を攻める石田三成・2万の軍勢に対し、長親側はたった500人で立ち向かう…。

とにかく面白い。読むと気持ちのよくなる本だ。ページをめくるたびに「次はどうなる!?」という興奮が収まらない。「のぼう」とは「でくのぼう」の意味。家臣はおろか小者、百姓に至る忍領全体の者たちが、親しみを込めて長親を呼ぶ名だ。これまでの時代小説にはなかった主人公のキャラクターが実に新鮮。そして、せりふの生きがいい。名だたる武将たちや農民たちが放つ活発なせりふによって、登場人物の誰もが生き生きと描かれている。なかでも、最終章で長親と三成が交わす会話は秀逸だ。ほかにも、圧倒的な勢力差が、小が大に勝つ物語を際立たせていること。合戦シーンと対話場面の緩急が絶妙で、テンポがいいこと。面白さの訳を数えあげれば切りがない。

この作品がデビュー作となる和田竜。彼の将器もまた計り知れない。脚本畑の出身だけあって、文章から映像がくっきりと浮かんでくる。天上から黒澤明の舌打ちが聞こえたのは空耳か。映画化が待たれる。
3.0 最後まで分からなかった主人公の器
時代は戦国時代後半?。

秀吉が小田原城主北条家に戦を仕掛ける。圧倒的優勢を誇る秀吉軍。その劣勢の小田原城の支城である忍城での話。

主人公である成田長親城代は領民にとても人気があった。なぜ人気があるかというと無能であるからである。普通,無能であれば虐げられるのだが,なぜか人気者。多分その容姿やナリに人を引くものがあると推測される。

この人気者の長親が領民を思い最初は開城(降参)する事に賛同していたが,石田三成の策にはまり戦をする事となる。(最終的には開城する事となり,その後歴史の表舞台から姿を消すわけだが)それまで10倍位の敵兵士数を誇る三成軍に対して優勢の戦いを進める。この戦いをメインとして述べられ,その背景や登場人物,および登場人物の心情がこの本を作っている。

感想から言ってしまえば,(結果論だが)最初に開城していれば,城を追い出される事もなく,ただ甲斐姫を秀吉に差出し,小田原城攻めに加わるだけで済んだのに。なぜ?。ただ使者の言動が気に食わなかっただけとはなんともあさはかと思える。その一方で三成との戦で,誰もが考えないというか,考えられない博打的な策を行う(長親は確実な根拠を持っていたようで,その根拠があれば分かりやすかったような気がする)。

という事で,現代的歴史小説としては面白かったので,星3つにしました。
3.0 ライトな歴史小説。
脚本界の新人賞を受賞した著者の、小説デビュー作。
主人公を歴史的には無名な「のぼう様」成田長親とした意欲作。
秀吉の命を受け大軍を率い、関東の忍城に迫る石田三成、大谷吉継ら。
城の総大将として、迎え撃つことになってしまった成田長親(城主の甥)。
読みやすく、長親の部下の諸将の描き分けもうまい。
無名の武将群を題材とした宿命か、全体的に水攻めの様な勢いにはもう一歩か。
映像になるときっと面白いだろうな、と思いました。
5.0 関東VS上方の文化戦争
テレビで紹介されたという帯で、ミーハー嫌いの私としては食わず嫌いに終わった可能性も
あったのだが。
たまたま、先日、箱根の山中城跡を訪れたところ、関西の城が石造りであるのに対して、
関東の城、特に北条家の城は天然の地形をそのまま生かして、黒沢明の「七人の侍」の
砦のように、堀を泥だらけにして、泥にはまった外敵を弓や鉄砲で攻める戦法を取っていた
ことに興味を持った。個人的には、そこにドラマの可能性を感じていたのだが、カモネギの
ように出現したのが本書である。
日本の西半分を制覇した豊臣秀吉は物量で上述の山中城を軽々と突破し、石垣造りの一夜城に
入城すると関東最大の小田原城の包囲を進める。そこで、秀吉は能吏だが軍事に滅法弱い
石田三成、長束正家、に大谷刑部をつけて、小城にすぎない忍城の攻略を任せる。
忍城を守るは対照的に古い関東武士の気風をまとった個性豊かな成田家の武将たち。彼らを
束ねるのは、三成と対照的な愚か者の「のぼう様」。普段は冷静な能吏ではあるが秀吉への
憧れと武力へのコンプレックスが人一倍強く、思いもしない大軍を任され理性を失ってしま
った三成は、関東平野のド真ん中で秀吉得意の壮大な水攻めを決行してしまう。(*)
とにかく、脚本が先行しているだけあって、上方軍と関東軍のカルチャーの対立構図を演劇
的なドラマトゥルギーに則って処理していく手際の良さに乗せられて、両方の陣営に肩入れ
しながら(個人的には関ヶ原では三成ファンだったのだが)、どんどん読み進んでいってし
まう。全盛期の黒沢映画をほうふつとさせる面白さだ。
(*)本来水攻めは中国地方のような山がちの城で行うものだ。しかも敵は城の周りの水田に
水を引き込んで泥沼作戦を決行中である。
4.0 爽やかな読後感
私は、歴史的事実としての忍城攻めは、何も知りませんでした。
歴史小説も普段、そんなに読むほうではありません。
堅苦しい文章は苦手、
何か相関図がないと理解できないようなたくさんの人物が出てくる物語は苦手。
そんな方々、この小説なら大丈夫です(笑)

わかりやすいキャラクター設定、シンプルでどこかすがすがしい展開。
歴史小説って感じは全然しないです。
ただ、そんな特徴は裏を返せば「軽い」小説ともいえるわけで、
どうしても、登場人物たちが「のぼう様」にここまでの魅力を感じてしまうものかなあーと思ってしまう。
そのあたり、もっと多くの説明があってもよかった気がします。

ただ、小難しいだけが小説ではないですし、
基本的に「事実」であるはずの出来事が、まるですべてフィクションに感じられるくらいのエンターテインメント。
読後に爽快感を感じたい! という気分のとき、お勧めできます!

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