マンガというコンテンツで日本が食っていくために
ジャンルにはある種の「旬」というものがあるらしい。
マンガという娯楽芸術は、国内的には成熟を極め、産業的にも昔日の勢いはないのだが、最近急に「国際化」を始めている。つまり、日本の「マンガ」が、娯楽として芸術としてそしてビジネスとして、海外で関心を持たれるようになり、かつ広範な読者を獲得しつつあるという現象である。この本は、そのような「マンガの国際化」の最前線に立つ筆者の「体験レポート」とその分析及び提言からなる。その体験レポートの部分が実はいちばん面白い。本当の最前線を経験している人にしか書けない臨場感に溢れている。
だが筆者である夏目房之介氏がそういう「最前線」に引き出されているのには、非常な必然性がある。氏の業績は(非常に乱暴にまとめると)!「(日本)マンガの面白さ」をコトバで表現したところにあり、言語化することによって翻訳が可能になり、国際的な了解可能性が飛躍的に高まったのだ。氏のマンガ評論活動は、日本マンガの魅力を広く海外に紹介することに大きく貢献している。国際交流基金のような政府系の機関から仕事が舞い込む所以である。
日本の政府も、遅まきながら「マンガ」のポテンシャルに気付いてきている。そう、21世紀の日本の重要な「食い扶持」は、マンガに代表されるコンテンツ産業なのだ。そのためには悪名高い「デ○ズニー」的手練手管にも習熟せねばならない。筆者が「カモネギ化するマンガ産業」という副題までつけて警鐘を鳴らしているのは、まさにその部分なのである。