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ネグレクト 育児放棄―真奈ちゃんはなぜ死んだか

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ネグレクト 育児放棄―真奈ちゃんはなぜ死んだかの商品レビュー

5.0 実在の児童虐待事件に多面的に挑んだ良書
2000年12月、3歳になったばかりの女の子がミイラのようになって亡くなった。
その直接の原因は、両親による育児放棄(ネグレクト)だった。

両親の非は明らかだ。だが両親だけを責めれば済むことか?
本書を読み進める内に出てくる答えは"No"だ。
加害両親自身も極めて辛い子ども時代を過ごしており
大人になってからも周囲の思惑に振り回されて、
自分の意思や判断というものを持たない大人に成長してしまっている。
それには何人もの人間が関わり、地域社会が関わり、日本社会が関わっている。
そこまで踏み込んで考えなければ恐らく児童虐待はなくならない。
これが私が本書を何度か読み返して出した、自分なりの答えだ。

本書を単なる事件の詳述に終わらせず、読み応えのあるものとしているのは
人物の内面まで丁寧に踏み込んで取材して描き出す杉山氏の能力だろう。
事件の起きた近所の住民、児童相談所の職員、
そして父親の無関心や母親の焦りを非常な説得力で描写する。
だからこそ本書はきわめて優れたルポルタージュになりえたのであり、
読者にも「児童虐待は残酷!許せない!」で終わらずに深く考えるきっかけを与えうるのだ。
私はハード・カヴァーで読んだが、文庫化される程の反響を呼んだのがその証拠だろう。
4.0 色々な原因が潜んでいるネグレクト
幼児虐待には、性的・暴力・精神そしてネグレクトと大きく分類されているが、ネグレクトは近年定義されたような感覚がある。虐待は、多分に両親が幼少過ごした環境に影響されるらしいが、本件でもやはり両親とも複雑な生立ちを歩んできたようだ。ただそういう環境でも立派に歩んでいる人も多く、本書を読むと様々な要因が推測できた。

報道では知られざる事実として、被害者の子は若干の発達障害があったようでそれが大きな要因にも感じられた。しかし、これが元来の物もあるが、両親の接し方にも起因している節も見うけられる。つまり愛情不足である。そこには母親の祖母との確執が疑われ、なぜそこまで軋轢が生じるかと言うと、皮肉にも母親自身の子に対する独占欲の裏返しによって、確執及び虐待が生じたとも取る事ができるのでは無いだろうか?そこには、彼女自身本当の愛情とは何かを得られずに今日まで来てしまった、結果とも取れる。

私的には、母親より父親の失態が大きいとも感じた。仕事メインで家庭そっちのけというスタンスが崩壊に導いたのだろうが、そこには現代社会の若者の過重労働問題も等閑にできない。また男は仕事で女は家庭。という台詞は一昔前の日本で通用した事であり、今の核家族でこれを当てはめるのは極めて不安定な結末を迎える。また夫は、帰宅するなりゲームに没頭するという、一種依存症の素質も持っており(アスペルガーの疑いあり)、病的なまでに現実逃避手段としてVDT機器に頼る現代人の問題を浮き掘りにしている。

以上のように、原因を探れば枚挙の暇が無いのだが、個人の問題意外にも、本書では社会福祉機関の事態に対する認識不足も大きく災いしいたのが理解できる。
虐待に関しては、虐待そのものの事実より上記のような、間接的な事象に積極的に目を向けなければ、根本的な解決には到底至らないというのを、読んでいて痛感した。
4.0 買いです。
ネグレクト(育児放棄)などと歯切れのよい言葉でまとめられると、なにかうすら寒い後味が残ります。連日繰り返される凄惨な事件(こういう慣用化された表現にも違和感を感じてしまいます)の猟奇性にも無感覚にならざるを得ない日常の呪縛の奥に、なにかもっと目を凝らしてみつめなければならない、善悪引き起こす真実が潜んでいるような気がするのです。育児放棄はもちろん早急に対処しなければならない社会問題だと思いますが、こういった諸問題の病根を探し当てて根本治療を施さないと、なにかをきっかけに社会の在り方自体を揺るがすような本質的な崩壊がすぐそこにまで迫ってきているのではないかという息苦しさを、なにかの拍子に感じたりします。
5.0 社会にもっと知って欲しい。
私がこの事件のニュースを見たのは高校生の時だった。そのときは、なんてひどい人がこの世の中にはいるのだろうと思った。
その後大学の本屋でこの本を見つけ、すぐに読んでみた。
読んだあとの印象は、最初にこの事件のことを知ったときとはまったく違ったものとなった。

確かにこの若い夫婦のやったことはひどい。それは変わらない。
しかし、その行為をした人もひどいかというとそうではないのではないか。
そこにあるのは無知と孤独。
残酷は人格は幻想。報道で作られたものであった。

児童虐待問題は、誤解されることが多い。
児童虐待はだめな親、だめな人間のみがしてしまうことではない。
普通の人が少し道を間違えただけで踏み込んでしまう。
誰でも虐待者になる可能性を持っている。
そこから子どもを救い出すために必要なことがこの本から見えてくる。
児童虐待について現在大勢が考えていることが実際と違うことを気づかせてくれる。
児童虐待問題が年々社会的に大きな問題となっている今、より多くの人に読んでもらいたい本である。
4.0 自分自身がネグレクト気味だったので・・・
私の子供は麻奈ちゃんのように幼い年齢ではありませんが、私自身が鬱病気味でネグレクトに近い状態になってしまうことがあり、ネグレクトとはいったいどういうものなのか?それは子供にどんな影響を与えるのか?ネグレクトを防ぐにはどうしたらいいのか?を知りたくて買いました。

非常に冷静に事件のこと、また、ネグレクトに関して描かれており、非常に参考になりました。

あまり気負いすぎずに子育てをすればいいのだ、と思わされました。また、子供は自分にとってやはり大切だと。疲れていても自分から「放棄」しなければネグレクトにはならないことも、わかりました。

この本を読むにあたっては、ちょっと違った視点だったと思うのですが、言葉ばかりが先行して、その意味についての理解はいまひとつあいまいな「ネグレクト」について知るには大変よい本だと思います。


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