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逆説の日本史〈7〉中世王権編―太平記と南北朝の謎 (小学館文庫)

逆説の日本史〈7〉中世王権編―太平記と南北朝の謎 (小学館文庫)

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逆説の日本史〈7〉中世王権編―太平記と南北朝の謎 (小学館文庫)の商品レビュー

5.0 井沢ワールドの中間試験
本書ではまず、「太平記」が、「源氏物語」や、「万葉集」とおなじ目線の上で書かれたものである事を詳細に説明しています。
ここでは、今まで著者がさんざん説明してきた、「怨霊信仰」、「言霊信仰」を再度検証するべく、この二つの考え方を無視して正しい解釈は出来ない事を解説します。

後半は、室町幕府の成立に絡み、後醍醐天皇、足利尊氏、義満、義教のを検証する事で、「ケガレ」と「和の精神」がここでも生きている事を証明しています。

どちらも、6巻までを読んでいる人には、「なるほど、そうつながるのか」と納得する論法で、日本史を読み解くために必要な4つのキイワードの中間決算的内容にも受け取れました。

室町時代は、その後の戦国時代から江戸時代に比べ、なじみが少なかったんですが、このキイワードで読み解くと、戦国時代以降に発生する物語の萌芽がそこら中にあることがわかり、かなりエキサイティングな時代だった事を知る事が出来ました。
5.0 室町時代の政争ってこんなに面白いんだ
「逆説シリーズ」第七作。"建武の新政"の失敗から"恐怖の魔王"足利義教の死までを描いている。義満・義教の評価を初めとして、「室町時代の政争ってこんなに面白いんだ」と実感させてくれる出色の出来。

"建武の新政"の失敗が、他人の事を考えない後醍醐天皇のワガママによるという指摘はごもっとも。日本においては、天皇自らが策動すると国が乱れるという典型である。間に「太平記」を題に採って、朱子学と老荘思想が語られる。朱子学が自縄自縛の学問であり、危険性を孕んでいるという事が良く分かる。次いで南北朝の争いが語られる。この発端は勿論、後醍醐の責任だが、やはり政争が長引いたのは尊氏の優柔不断のせいだと思う。井沢氏も言う通り、尊氏は「良い人」だったかもしれないが、頼朝・家康のようなビジョンに欠けていた。しかし、この当時は下克上という概念はなかったようだ。本書を読むと、高師直が足利政権を乗っ取っても不思議ではないように思われるが、この時代では許されなかったのであろう。そして、義満論。「天皇になろうとした将軍」の著者としては自家薬籠中の話題。義満の野望にここまで迫った論者は他にいないだろう。最後に、歴史の教科書には登場しない"恐怖の魔王"義教論。本書を読むと、歴史が何故義教を取り上げないのか不思議である。特に義教が信長の先駆者と言う指摘は鋭い。

義満を積極的に取り上げ、しかも義教という普段余り取り上げられない"隠れた傑物"を肯定的に取り上げる等、著者の本領を発揮したシリーズ中の傑作。
4.0 言霊思想が克服されると、著者の主張する日本史原理が反証されるのではないでしょうか
 私も『太平記』の分析が面白かった。足利尊氏・直義の対立、南朝の延命、鎌倉府の独立から義教の政策までの絡まり具合は複雑で、これまでよく理解できなかったのだが、本書の説明で一応頭の中の整理はついた(複雑なのは相変わらず)。金閣寺三層構造の話も納得。著者はあとがきで、逆説シリーズの目標は「クロッキーでよいから、日本史の全体像を描き出すこと」だと書いている(p427)。それは良いのだが、実はここまで読み進めてきて気づいたことが一つ。イザワ本を読んでいると、何だか元気がなくなるのだ。で、それは何故かと考えてみた。
 著者はシリーズの随所で日本の「言霊信仰」の抽象性を批判する。この巻でも後醍醐が「軍隊」を「ケガレ」と見たため、「有事」に現実的な対応ができなかったと説明(p15その他)。あるいは足利義教再評価の過程で、「和=話し合い至上主義」の限界を指摘する。ところが、これらが「日本史を貫く鉄則・原理」(p391、p411他)だと示すことこそが、本シリーズ全体の主題に他ならない。「普通の国」を志向した義教も信長も「日本の根本秩序を揺るがそうとする人間に対する」フィードバックによって歴史から抹殺された(p416)。天皇制秩序を壊乱する者は例外なく挫折した(その割に、何度か皇統の断絶が起こっているらしいのだが…)。
 少なくともここまで読む限り、本シリーズは「日本では改革者は必敗」という、実にネガティヴで根暗な物語なのだ。これじゃ元気出るワケがない。加えて、義教評価に際して「最大領土」の尺度をグローバル・スタンダードのように持ち出す件りがあるが(p401)、私は現代世界にそのような評価基準が通用するとは信じがたい。
5.0 尊氏、義満、義教
室町幕府の成立からその最盛期である足利義教まで。

幕府といっても徳川幕府ほどの力はなく、九州などはなかなか統治できないなど、鎌倉幕府に続いてその実態がよく分かる。

そしてもちろん、南北朝時代がなぜ出現したのか、というところも。
尊氏が「いい人」であるが故に南北朝の混乱を招いた、というのはポイント。

その他にも“天皇になろうとした将軍”義満や、“天魔王”義教など、日本史上に残る重要人物が次々出てくる。
こと義教に関しては著者も触れているが、明石散人『二人の天魔王』を併せて読めば完璧。

特に天皇という存在について詳しく触れられているのが大きな特徴です。

5.0 日本人を知る
日本の歴史の屈折点。この時代を知ることは、現代日本人の原点を知ること。
現代日本人の根底にある、現代日本人が意識していない、日本人の価値観を詳しく平易に解説。日本人の無意識の考え方を知ることは、社会生活に役立つ事間違いなし。お勧めです。

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